深圳在外研究メモ No.23 深圳国際ドローン展2017に参加する編①~「世界無人機大会」の規模、そして南京航空航天大学の先生の「ドローン×AI」の議論が刺激的だった

私は新興産業の事例研究として、中国のドローン産業にも注目して研究をしています。最近ですと日本の専門メディアDrone Journalに「加速都市・深圳から見るドローンの未来」を書いています。

現在滞在している深圳では、昨年に続き深圳市無人機協会の主催による深圳国際ドローン展が開催されています。昨年の展示会にも参加しているので、去年の開催概要はこちらをご覧ください。

以下、初日に参加した雑感を写真にメモしておきます。現時点での印象としては、①昨年は参加が見られなかったDJIが、副総裁をコンファレンスに出したことが会議自体の重みを大きく変え始めている、②コンシューマーセグメントにおけるDJIの一強状態を反映して、出展メーカーは産業用ドローンメーカーが圧倒的に多いこと、③「世界無人機大会」というコンファレンスが巨大で、しかも海外の来賓のプレゼンより中国側のプレゼンが刺激的だったことがあります。展示の内容については明日以降に取材したものを次に書くことにして、以下では、初日のコンファレンスについて若干触れておきたいと思います。

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昨年に続き会展中心で開催されているドローン展。

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7-8号館が会場となっていますが、主に8号館にドローンが、7号館には画像認識系の展示が集まっています。

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開幕式の様子。1時間くらい押して始まりました。

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「世界無人機大会」、深圳市ドローン協会・楊金才会長による挨拶。

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合計10のキーノートスピーチの一番で登壇したDJIの副総裁、徐華濱氏。タイトルは「娯楽から生産力へ:ドローン産業の未来の生態系」。

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DJIの機種開発を4つの段階に分けて説明。第一段階は、飛ぶのに十分な飛行機能(ホバリング、操作)を持たせる段階。第二段階が空撮セグメントを開拓するために必要な機能(カメラおよびジンバルの搭載)を持たせる段階。第三段階が、衝突回避、追跡、ジェスチャーコントロールといったスマート化。そして第四段階が産業用ドローンの段階で、悪天候への耐久性、信頼性、モジュール化およびオープン化によるカスタマイズ需要への対応、という段階。

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ハードウェアは主に3つのプラットフォームで対応。

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ソフトウェアは、①フライトコントローラー、②データ収集、③データ分析の3つのレイヤーでパートナーを選定していく。

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マーケティングとシステム開発の両面でパートナーを増やす戦略、とのこと。本当はDJIはもっと未来を考えているはずですが、ここではあくまでもパートナーを増やすというプレゼンテーションをしていました。

 

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別のプレゼンの中で、強烈だったのは南京航空航天大学の黄大慶先生のプレゼンです。ドローンにAIを搭載し、ネットワーク化することで何ができるかという議論をしていました。結論として、蜂の群れの研究を応用し、相互に連結した、自律したドローンの群れにAIを搭載すれば、第一に軍事用途では「この顔のテロリストを排除せよ」と命令すれば自動で発見し攻撃し排除できる。世界を5つくらいのエリアにわけて管理すればよい、とのこと。第二に、民用では、AIに「農作物を育てて収穫量を増やせ」と命令すれば、ドローンの群れが自動で農薬をまき、水の生育状況を把握できる。他の登壇者が実務的な機体開発、法規制、ソリューション、そして国際協力の話をする中で、黄教授のものが最も野心的なプレゼンで、「ドローン×AI」の議論は刺激でした。

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ドローンにAIと自律的グループコントロールを追加した場合に可能になる民用用途を解説しているスライドです。

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「世界無人機大会」の様子。

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「深圳無人機宣言」を多くの国から来た代表と署名し、「世界無人機大会」はフィナーレ。

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二日目以降には専門的なセッションが複数開催されます。すべては把握できませんが、展示の内容と合わせて次回書きます。

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