Aseiito.net

深圳在外研究メモ~加速都市・深圳を描く~

IMG_20170921_183641.jpg

(Tencentの新本社ビル(右), 2017年9月21日夕方筆者撮影)

深圳大学にて在外研究中なので、フィールドワークのメモを描きためています。加速都市・深圳の過去と現在、珠江デルタの構造変化を「描い」ていきます。

深圳在外研究メモ No.1 深圳大学に到着編

深圳在外研究メモ No.2 ニコ技深圳観察会 (2017年4月)そもそもなぜ「非チャイナスペシャリスト」がツアーを企画でき、なぜそれが大事なのか編

深圳在外研究メモ No.3 ニコ技深圳観察会 (2017年4月)第一日目訪問先感想編~Trouble Maker, HAX, and Jenesis

深圳在外研究メモ No.4 ニコ技深圳観察会SegMaker出張所を開設してみた編

深圳在外研究メモ NO.5 ニコ技深圳観察会 (2017年4月)二日目訪問先感想編~Trouble Maker提携工場, Dobot, Makeblock, and 柴火創客

深圳在外研究メモ NO.6 ニコ技深圳観察会 (2017年4月)三日目訪問先感想編~Ash Cloud, Seeed, Insta360, and Tencent!!!

深圳在外研究メモ NO.7 ニコ技深圳観察会 (2017年4月)を振り返る編

深圳在外研究メモ NO.8 シェアサイクルOFOを使ってみた編~スマホ電子決済前提社会におけるシェアエコノミーの広がり

深圳在外研究メモ NO.9 世界の電子街・華強北のど真ん中でレーザーカッターと3Dプリンターワークショップに参加してみた編

深圳在外研究メモ NO.10 深圳博物館で体感する改革開放編~蛇口爆破、「深圳スピード」の由来、そして圧倒的鄧小平推し

深圳在外研究メモ No.11 深圳市ソフトウェア産業基地(深圳湾)が意識高い編~Tencent新社屋、Stargeek, NAVER, そして総理コーヒー。だいたいいつ行っても何かやってる面白さ

深圳在外研究メモ No.12 深圳で生活していて得られた情報編~青色ダイオード中村修二先生ラボ開設、DJI本社ビル建設、習近平広東指示の学習会

深圳在外研究メモ No.13 深圳大学北側の麻雀嶺工業園区付近を歩く編~元工業団地には ロボットスタートアップ、木工工房、コワーキング、メイカースペースが入居。「工場」からの脱皮を体感できる場所になっていた

深圳在外研究メモ No.14 ドローンスクールに入学してみた編~アプリ学習、Alipay支払い、そして総括は漢詩

深圳在外研究メモ No.15 デザインウィーク見学編~ガラス工場をリノベーション。主会場はプロダクト展。別会場の青葉益輝のポスターを来場者はじっと見ていた

深圳在外研究メモ No.16 3Dプリンター工場見学編~デジタルファブリケーション機器の製造現場はきわめてアナログだった

深圳在外研究メモ No.17 CUHKSZにMary Ann O’Donnelさんのレクチャーを聞きに行く編~「深圳人」をめぐる政治、経済、そして文化的解釈。「本地人は政治的に作られうる」、「本質的には深圳人とは自らを改造した人を指す」

深圳在外研究メモ No.18 アニメイベントで実況中継アプリ花椒の威力を知る編~学生グループが楽しく実況。平均課金額は200円でも、最高課金者は1.4億花椒豆(約2億3千万円)課金

深圳在外研究メモ No.19 海外政府系テックプロジェクトと深圳のつながり編~深圳の、そして中国の新しい経済、新しいエコシステムと自国をつなげようとしているプロジェクトが続々

深圳在外研究メモ No.20 Makeblockの創業者Jasen Wangの視野と初の主催イベントを見た編~深圳の真ん中で子供たちはMakeblockを遊びつくす

深圳在外研究メモ No.21 深圳のなんとなく大事なエリアの風景写真をまとめる編~徐々に成長の極は西側へ

深圳在外研究メモ No.22 深圳でKickstarterのキャンペーン戦略を学ぶ編~「クラウドファンディングとはCommunity-driven fundingである、それ相応の準備が不可欠」

深圳在外研究メモ No.23 深圳国際ドローン展2017に参加する編①~「世界無人機大会」の規模、そして南京航空航天大学の先生の「ドローン×AI」の議論が刺激的だった

深圳在外研究メモ No.24 深圳国際ドローン展2017に参加する編②~展示の特徴は産業用、大型機、固定翼、そしてアンチドローンシステム等々。非空撮市場をめぐる競争へ。

深圳在外研究メモ No.25 ローカル系レーザーカッター工場を訪問する編~東莞市の雷宇激光を訪問、メイカースペースを支える現場を見た

深圳在外研究メモ No.26 メイカースペースSegmakerでイベントを開催してみた編~ドローンミートアップと深圳観察会ワークショップ

深圳在外研究メモ No.27 メイカーフェア西安とBilibili World 2017に参加してみた編

深圳在外研究メモ No.28 番外編~バンコク出張で感じたこと

深圳在外研究メモ No.29 深圳華強北SEGMAKER来訪者向けの資料を解説する編~新世代ベンチャー企業のエコシステム、そして新しい深圳とどうつながるか

深圳在外研究メモ No.30 沿海部の東北支援策が動き出した編~深圳は哈爾浜と協力、何かが起きるのだろうか?

深圳在外研究メモ No.31 深圳テクノセンター訪問編~来料加工制度は終了へ、中国国内需要の開拓と難加工への挑戦

深圳在外研究メモ No.32 深圳イノベーション·アントレプレナーシップ・ウィーク2017編~テーマは「深圳と創造しよう」

深圳在外研究メモ No.32 深圳イノベーション·アントレプレナーシップ・ウィーク2017編~テーマは「深圳と創造しよう」

 2015年以来、中国では創業と創新(イノベーション)の二つの「創」のいみで、「双創週(通称イノベーションウィーク)」が開催されています。期間は9月15日から21日で、深圳での正式名は「全国双创周深圳活动暨第三届深圳国际创客周」、イノベーションウィーク自体は全国のイベントなので、その深圳分会という位置づけです。なかでも会展中心で開催されている展示会が最も規模の大きな展示で、このほかに市内の各地で関連イベントが50以上開催されています。

昨年のイノベーションウィークでは、李克強首相主催、そしてアップルのティムクックまで列席した会議が開催されましたが、今回は党大会前というタイミングで、政治的には控えめの開催だったと感じました。内容としては深圳のロボティクス企業やメイカースペースの展示が並んでおり、メイカーフェアーよりはずっと公式的な展示、例えば研究機関系の展示が多く、これはこれで新たな側面を垣間見ることができました。

以下、写真。

IMG_20170917_141706.jpg

2017年9月17日(日)午後の様子、それほど来客は多くなかったのですが、展示の中身は濃かったと思います。

IMG_20170917_140836.jpg

メイカースペースのパビリオン。3W、柴火、Segmaker、星雲などに加えて、知らないスペースもずいぶん並んでいました。

IMG_20170917_131529.jpg

ドローンパビリオン。DJIは出展していませんでした、農業用ドローン、ホビー用ドローン、グループコントロールの会社が出展していました。

IMG_20170917_141154.jpg

キーワードの「深圳と創造しよう」。

IMG_20170917_121924.jpg

自走する、しゃべる、自販機。画像認識で人を見つけて、追いかけ、約50cmまで接近し、声をかけて営業をかけ、QRコードでの決済。買わない場合には広告を流しながら他の顧客に向かう…。

IMG_20170917_122508.jpg

折り畳み式電動二輪。すでに金型を作り、量産体制に入っているとのこと。

IMG_20170917_123529.jpg

水中ドローンFifish(QYsea)と共同研究した水中無線モジュールを展示していたブース(左右に飛び出しているのが無線モジュール)。Fifishの初期プロトタイプは有線での操作が基本でしたが、すでに技術的に解消が近いことを知りました。

IMG_20170917_130338_2.jpg

ドローンの編隊飛行(グループコントロール)とダンサーの共演というパフォーマンス。あとから日本でもすでにライゾマティクスがドローンとダンスを組み合わせたパフォーマンスをやっているのを知り合いに教えてもらったのですが、機械学習までしているかどうかは不明。

IMG_20170917_141300.jpg

メイカー地図2017。イノベーションウィーク用に以前から作成されており、今回は2017年版に更新された模様です。今度昨年版との照合をしてみようと思います。

IMG_20170916_145808.jpg

分科会の一つ、9月16日に開催された「一帯一路メイカーサミット」。フランス、パキスタン、エチオピア、ペルーからメイカーコミュニティまたは科学技術政策担当者が来て、それぞれの報告をしていました。パキスタンからの登壇者が、「3Dプリンターは銃も作れるので、治安上の理由からパキスタンでは輸入が禁止されている。ただ、メイカースペースではパーツを輸入して組み立てている。」といった面白い話を紹介していました。中国から登壇者はなぜか、というかこのワークショップの開催者David LIとつながっているロビン・ウーでした。

IMG_20170916_161241.jpg

アフリカビジネスの重要性を説く、「山寨王」ことロビン・ウー。彼のプレゼンを聞くのは初めてでしたが、とても面白かったので講演の内容を要約しておきます。

 エチオピアをはじめ、アフリカによく出張してビジネスの機会を探っている。一帯一路の政策に沿って、この構想に貢献できることは光栄なことだ。いまはエチオピアでエレクトロニクス製品の組み立て工場をやっているほかに、現地のスマホの充電需要を満たし、なおかつWifiを提供するボックスも展開している。製造だけで儲ける時代はすでに終わっている。製造だけでなく、自社アプリをダウンロードしてもらい、そこからさまざまなサービスへの展開の可能性があるから、アフリカのジャックマーを目指している。

なぜ80年代生まれがアフリカにいくのか?当然、習大大の一帯一路に貢献するためだ。でもそのうえで、はっきり言って80年代生まれの中国人はもう深センでマンション買えないじゃないか。私も80年代生まれだ。アフリカなら買える。家が買える。ビジネスだって深センよりは楽だ。だから80年代生まれ、90年代生まれの中国人はアフリカに行くべきなんだ。毛沢東は「世界はあなたたちのものだ、そして私たちのものでもある。しかし結局のところ、あなたたちのものだ」といって若者を励ました。今の若者は、深センだけじゃなく、天下を見るべきだ。

製造業で頑張ろうとか忘れるべきだ。深圳についていえば、製造業だけでビジネスをする時代はすでに終わっている。製造業のことも、政府のことも、メディアのことも、この会議のことも、すべて忘れればいい。そこに残るのは自分だけだ。奮闘する精神だけ持ってアフリカでやればいいんだ。そこには中国の80年代のような高度成長が待っている。」

 

IMG_20170916_162035.jpg

アフリカのジャックマーを目指して展開中の端末。充電でき、映画や音楽をダウンロードできる。

 

現地報道:

2017深圳双创周来啦,让草根创新创业更接地气

http://www.sznews.com/news/content/2017-09/16/content_17317868.htm

協賛団体:
深圳市工業設計協会 http://www.szida.org/

深圳在外研究メモ No.31 深圳テクノセンター訪問編~来料加工制度は終了へ、中国国内需要の開拓と難加工への挑戦

深圳の日系企業といえば、大手複写機メーカーや家電メーカーと並んで、テクノセンターの存在を指摘できます。現在の第三期は深圳市の北部、観欄にあり、現在19社が入居しています。

テクノセンターは1992年に開設され、来料加工の形態で多くの日系企業の現地進出をサポートしてきました。来料加工とは、加工貿易としての性質、すなわち原料を無関税で持ち込み、製品を輸出する形式に加えて、香港法人から華南の村への委託という形態をとることで、直接投資形態をとらない(つまり中国で法人を設立しない)、特殊な加工貿易形態です。

今回の在外研究中にも、テクノセンターのまさに開拓者である石井次郎さん、そしてテクノセンター総務部の西村三沙さんに加えて、さらには入居されている企業にも何社かお邪魔させていただき、お話を伺っています。

テクノセンター、そしてこの加工貿易の姿については、関満博編著『深圳テクノセンター 中小企業と若者に「希望」と「勇気」を』(新評論、2009年)に詳述されています。2009年というリーマンショックの影響色濃いタイミングで出版されたものですが、国内市場の開拓の重要性など、その後の方向性が指摘されています。私は大学院時代に、大学は別だったのですが関ゼミや隅田塾(関先生が次世代経営者に向けて開催するセミナー)に何回か顔を出させていただき、現場を駆け回るスタイルに刺激を受けたものの一人です。確か、当時、関先生は「同時代の証言」というような表現で、調査資料をまとめた書籍(自嘲気味に「この厚さなら枕にできるぞ」と言っていました)の量産を肯定していたと記憶していますが、実際にこうして興味深いタイミングの記録が残っていることは貴重です。

2009年以降の変化として、とくに重要なことは、2018年8月末でテクノセンターが持っている来料加工のライセンスが切れる予定であるという点です。来料加工は、テクノセンターと地元の村政府との契約という形をとるため、テクノセンターの契約が切れた後には、個別企業が独自で来料加工契約を持っていない場合には、そこで来料加工は終わることになります。西村さんのお話によると、8月末にライセンスが切れるとすると、最後の来料加工輸出は来年3月末までに終わらせる必要があるため、もうすぐ、テクノセンターとしての最後の来料加工輸出を迎えることになります。

華南、とくに東莞深圳地域の発展をもたらしてきた来料加工制度ですが、2008年金融危機後の広東省省書記、そして中央政府の方針もあり、来料加工での生産から、独資企業法人を設立する形態(いわゆる独資化)の動きが長らく続いてきました。東莞ではまた違った状況のようですが、テクノセンターでは独資化によって、現時点で訪問させていただいた企業の中には二つの方向性がありました。第一は中国国内の需要の開拓(中国に進出している日系企業、そしてローカル企業をともに含む)です。あの会社では独資化のタイミングで、来料加工時代にはいなかった営業部隊を立ち上げ、日本からエース級の営業を駐在させることにしたそうです。もう一つの方向性は、難加工への対応です。業務としては引き続き日本国内市場向けの金属製品の加工をしながらも、もはや日本国内で見つけることが難しいレベルの金型を深圳で製造し、それによるプレス加工を強味にしている企業でした。こうした取り組みがポスト来料加工時代の、日系中小製造業の方向性と言えるかもしれません。

かつては5000人を超えるような大運動会が開かれていたテクノセンターですが、現在は運動会の代わりにバーベキュー大会が開催されるという情報を耳にしたので、またそういったイベントにも参加してみるつもりです。ベンチャー企業やニューエコノミーが注目を集める深圳ですが、日系中小企業が築いてきた蓄積が、これからも活かされる方法があるのではないか、と最近考えています。

IMG_20170913_090343.jpg

テクノセンター(日技城)入り口。

IMG_20170913_152850.jpg

入居企業の看板(運営会社なども含む)

IMG_20170913_152035.jpg

石井次郎さんと。

IMG_20170915_141439.jpg

見せていただいた1997年6月、2.5期工事起工式の様子。

 

深圳在外研究メモ No.30 沿海部の東北支援策が動き出した編~深圳は哈爾浜と協力、何かが起きるのだろうか?

在外研究先である深圳大学の中国経済特区中心が東北部の哈爾浜で会議を開催したので、私も参加しました。会議のタイトルは『2017 世界経済特区(哈爾浜)発展論壇 ”一帯一路”背景下的自貿区建設与深哈合作』。特に後半を訳すと、「一帯一路を背景とした自由貿易区の建設と深圳―哈爾浜協力」となります。

1.「東北-沿海合作」と「深哈合作」

ここで出てくる「深哈合作」は、今年3月に国務院が策定した「東北部」と「東部」の一対一のいわゆる対口支援のフレームワークです。 《东北地区与东部地区部分省市对口合作工作方案》として発表されており、具体的には発展が遅れる東北3省を支援するために、下記のマッチングがされています。

省レベル:遼寧省と江蘇省、吉林省と浙江省、黒竜江省と広東省

市レベル:瀋陽と北京、大連と上海、長春と天津、哈爾浜と深圳

上記の文件によると、行政管理体制、国有経済改革、民営経済発展、対外開放、発展理念の共有を目指しており、産業面では設備製造業、新興産業(ロボティクス、バイオ、新材料など)、農業、サービス業、旅行カルチャー産業が挙げられています。

2.会議の論点

会議のタイトルを改めてみると、このような東北振興の文脈と、一帯一路構想をからめたものとなっています。一帯一路、東北振興、そして深圳モデルの経験の応用性が一体化した会議で、これらの3つの論点が混在していました。東北振興の論点では正面からの批判はありませんでしたが林毅夫教授の吉林報告を巡って議論が展開しました。一帯一路については、新疆の先生が中央アジアにおけるチャンスと中近東でのリスクを指摘したことが印象的でした。そして深圳を巡っては、深圳の経験のうち、なにが東北に参考になるのかが議論されましたが、全く経済構造が違うため、民営経済の振興や市場メカニズムの導入といった大上段の論点が目立ちました。ただ、各論では深圳の資金を哈爾浜工業大学やハイテクベンチャーに投入すべきといった話が登場し、実際に会議の次の日には深圳市に本拠を置く企業の哈爾浜支社を見学しましたが、哈爾浜工業大学の卒業生を中心に、ハイレベルなソフトウェアエンジニアの存在が支社設立の主因だと聞き、こうした工科系大学からの波及効果はありえそうです。実際に哈爾浜市経済研究所の所長は、近年中国国内でキーワードになっている「軍民融合」政策が哈爾浜にとってチャンスとなる旨を指摘しました。

3.印象的だった報告

個別の報告では中山大学留学時から著名だった王珺教授(広東省社会科学院院長)が広東省の過去10年の経験を総括していて、とても興味深かったです。王教授によると、広東省は2010年頃まではいわゆるキャッチアップ型の政策を採択しており、具体的にはLED、電子産業、新エネルギーといった特定産業分野を選択して支援をしていました。しかしその後、2014年頃、現地の研究者が気が付いたのは、こうした支援の多くは失敗したという事実で、イノベーションを支援するには、こうした産業レベルの支援は適さないという事実だったそうです。そこで特定産業というよりも、インキュベーションセンターや科学技術部のハイテク企業認定への補助へと重点を切り替え、特定産業ではなく、より広く民営企業の活動を支援した、というのが王教授の総括です。王教授はこの転換を「追赶型政策(キャッチアップ型政策)」から「功能性改進(機能的改善)」と表現していました。

私は深圳を中国経済の高度化とイノベーションの観点から研究しており、このほかに一帯一路も研究しています。しかしもう一つ中国経済にとって重要な構造改革についてはなかなか研究をすることができていないのですが、今回の会議でそのきっかけをもらったような気がしています。深圳も、一帯一路も、東北も、すべてつなげてしまう会議から得るものは実に多かったわけです。

以下、一部会議の写真。

WeChat Image_20170912020349.jpg

 IMG_20170909_091035.jpg

IMG_20170909_100627.jpg

IMG_20170909_101727.jpgIMG_20170909_102753.jpg

 

IMG_20170909_143454.jpg

 

IMG_20170909_153242_1.jpg

会議のメディア報道

http://news.ifeng.com/a/20170911/51946921_0.shtml 凤凰网资讯 http://hlj.ifeng.com/a/20170911/5983417_0.shtml 凤凰网黑龙江频道 http://www.hlj.xinhuanet.com/bcrd/2017-09/10/c_136597929.htm 新华网黑龙江频道 http://hb.my399.com/html/2017-09/10/content_14837223.htm 哈尔滨日报 http://www.sohu.com/a/190866038_267106 搜狐财经 http://news.sina.com.cn/c/2017-09-10/doc-ifykuftz5830078.shtml 新浪新闻中心 http://news.163.com/17/0909/19/CTTRL22100018AOQ.html 网易新闻 http://finance.china.com.cn/roll/20170909/4385095.shtml 中国财经网 http://www.harbin.gov.cn/info/news/index/detail_jryw/466814.htm 哈尔滨市政府网站 http://www.hrbtv.net/folder137/2017-09-10/210855.html 哈尔滨新闻频道、哈尔滨广播电视台 http://news.china.com/finance/11155042/20170909/31337656.html 中华网 http://www.randian.cc/quanqiujingji/151136.html 燃点网 http://news.iqilu.com/china/gedi/2017/0909/3678158.shtml 齐鲁网 http://news.cbg.cn/cj/2017/0909/9024809.shtml 重庆网络广播电视台视界网 http://news.eastday.com/eastday/13news/auto/news/finance/20170909/u7ai7077356.html 东方网 http://economy.jschina.com.cn/gdxw/201709/t20170909_1024889.shtml 中国江苏网 http://ce.jxcn.cn/system/2017/09/10/016389780.shtml 江西网经济频

深圳在外研究メモ No.29 深圳華強北SEGMAKER来訪者向けの資料を解説する編~新世代ベンチャー企業のエコシステム、そして新しい深圳とどうつながるか

観察会や各種報道の情報が広まっていることや、夏休みの時期ということもあり、深圳を視察に来る方が増えている印象があります。10名以上でニコ技深圳観察会SEGMAKER出張所にいらっしゃる場合には、時間を見つけてメイカースペースを案内するほかに、「イノベーション都市としての深圳」というタイトルのプレゼンをすることもあります。

 

ここに簡略版PDFを張り付けておきます:aseiito_shenzhen_as_innovative_city

 

このスライドは深圳のベンチャー企業やニューエコノミーに関して興味がある方向けで、議論の前提としてHUAWEIやZTEといった大企業が生まれていることをすでに既知のこととしています。HUAWEIの成長については、例えば田濤・呉春波著『最強の未公開企業 ファーウェイ: 冬は必ずやってくる』(東洋経済新報社、2015年)を読むことでその企業内部の統治システムも含めて理解できます。

 

スライドの概要はだいたい以下のとおりです。

1.第一節 中国経済の変化、3つの方向性

そのうえで、スライドではまず中国経済の三つの方向性を簡単に指摘しています。私は3つの方向性のうち、とくに高度化、イノベーションの方向性を理解する上で深圳に注目することが有効だと考えています。

 

2.第二節 深圳への注目

Economist誌やWIRE誌からの注目が集まっており、急増する中国のPCT特許出願の46.6%が深圳市からによるもの、なおかつ南山区がその半分を占める事実を指摘します。例えばこの南山区に立地する新興企業としては、たとえばドローンの世界最大手DJIの成長という事例を挙げられるわけです。10年で従業員が約1万人(スライドは3月時点のデータで、9月時点では1.1万人らしいです)を超えているようないわゆるユニコーン企業が生まれたわけです。DJI一社が偶然生まれたという可能性もありますが、この報告では、DJIの登場はまぐれではなく、むしろ深圳市にはハードウェアスタートアップが生まれ、また成長する仕組み、換言すればエコシステムがあることを解説しています。

 

3.第三節 新世代ベンチャー企業のエコシステム

ここがスライドの中核です。説明を簡略化するために①巨大で充実したサプライチェーンの存在、②参入が容易な産業構造、③クリエイティビティとマーケティング能力を付加する要素、この三点で説明しています

サプライチェーンについてはJENESISの藤岡さんのスライドを利用(許可を得ています)し、部材、金型、組み立て、検査からさらに物流機能まで完備されています。そのうえで、深圳市のデータによると、2016年深圳市単独で3.8億台の携帯電話を生産しています。さらに東莞市のOppo, Vivoを足すと、この地域で6億台以上の携帯電話が生産されていることになります。

サプライチェーンのもう一つの特徴は公板と公模の存在です。公板は特定製品用の基盤で、電気街華強北ではフリーペーパー上で、ウェアラブル製品やブルートゥーススピーカー用の基盤業者の広告を大量に見つけることができます。開発コストを削減できる産業構造が生まれているということになります。

そしてこのサプライチェーンに、近年クリエイティビティが加わったわけです。大前提として圧倒的に若い人口構造が挙げられ、「1980年代以降生まれ、理系有力大学卒業、そして深圳創業」という経歴が王道になっています。スライドではDJIのフランクワン、Makeblockのジェイセン・ワン、Seeedのエリック・パンを挙げていますがこのほかにもまだまだ追記できます。さらにハードウェアアクセラレーターHAXのみではなく、広い意味ではコワーキングスペースも若い企業家(およびその卵)に機会を提供する場となっています。

DJIの登場はまぐれではなく、ハードウェアベンチャーの成長を促進する仕組みが構築されているわけです。これらのベンチャーが開発している製品は、ドローン、360度カメラ、家庭用ロボットアーム、水中ドローン、コミュニケーションロボット、などなどです。自動車産業、スマートフォン産業に比べると「ニッチだよね」、という評価は確かに可能です。しかし、これまで存在しなかった、あるいは世界で同時開発競争が行われる新製品カテゴリーで、深圳発のベンチャーが世界最速のスピードを記録しつつあることは重要です。これら「ポストスマホ時代」のハードウェアを切り拓く、そしてものすごい球数を投げてくる街として、深圳に注目する価値があると考えています。

 

4.第四節 新しい深圳とどうつながるか

最後に問題になるのはこの新しい深圳とどうつながるか、です。

深圳(中国)を下請け工場として使う時代から、深圳(中国)自身に開発とマーケティング能力のある、しかも若い企業が生まれてきているわけです。日本の有力企業も、こうしたベンチャー企業への納入実績を持っています。サプライヤーとしての取引関係をどう開拓するか、がまずは課題になります。「ローカルメーカーさんは代金回収が怖くて・・・」という一つの典型的反応を超えて、どのように信頼できる、そして伸びる中国企業との取引を選別し、開拓していくか、いま知恵が求められています

しかしそれ以上に、単なるハードウェアの街を超える場所になる可能性も含めて、多様なバックグラウンドを持つ人が、それぞれのセンスでつながりを持っていくことが大事だと考えています。フィンランド、韓国、フランス、イギリスが様々な取り組みをしています。特に答えはありませんが、それぞれの自分の地域の資源と、新しいイノベーションの拠点たる深圳とをつなげようと模索しています。

日本についてはこのブログシリーズでもたびたび言及しているニコ技深圳観察会が、コミュニティとして深圳に刺さっています。これは、エコシステムのなかの様々な特性のキーパーソンと関係を深めていくうえで、コミュニティで関わっていこうとするアプローチが、ロジックとして有効なためだと考えています。

もっと何かできるかもしれません。ひとまずここまで。

深圳在外研究メモ No.28 番外編~バンコク出張で感じたこと

過去6年ほど、年に一回程度の頻度でタイに行く機会があり、今年は深圳から香港に渡り、香港空港からバンコクスワナブーム空港へ行きました。普段、東京からバンコクに行った際には感じなかったことを多く感じたので、メモを残しておきます。

 

1.香港ーバンコクの圧倒的近さ

香港からバンコクまでは飛行機でわずか2時間半で到着。東京からの6時間と比べると、至極当たり前の話ではあるものの、距離的近さを再認識しました。

IMG_20170819_093731.jpg

2.中国スマホメーカーの宣伝攻勢の激しさ

バンコク市内では、HUAWEI、Oppo、Vivoの広告を交通機関の要所要所で目にしました。空港、スクンビット駅等、最も人が集まるところには中国企業の広告がありました。市場シェアが高まることを予感させる広告攻勢を体感しました。

IMG_20170819_100636.jpg

空港到着ロビーのHuawei P10の広告

 

IMG_20170821_133319.jpg

地下鉄構内でのOppoの広告。

 

IMG_20170821_133639.jpg

ホームもこの状態

IMG_20170821_134416.jpg

別の駅では今度はVivo

IMG_20170821_150652.jpg

IMG_20170821_150819.jpg

電気街でもOppoが宣伝攻勢をかけていました

3.「ガソリンの匂いがする」

バンコクの街に降り立って第一に感じたことの一つは、バイクの多さとガソリンの匂いでした。毎年バンコクには来ていましたが、深圳から来たという経験がこの差を強く意識させました。深圳市内ではオートバイは禁止されており、日常で見かけることはありません。また深圳でも渋滞は当然発生しているものの、地下鉄も発達していることもあり、日常生活でのストレスはあまりありませんが、バンコクには電車/地下鉄がBTSスクンビット線、BTSシーロム線、MRT線の3本に限られており、引き続き交通面でのインフラの弱さを感じました。IMG_20170819_111702_1.jpg

オートバイが皆無の深圳から降り立つとさらにインパクトがありました

IMG_20170819_211818.jpg夜のセントラルワールド前。

IMG_20170821_110234.jpg

もう一つは、電信柱と送電線の存在です。深圳でも白石洲のようなダウンタウン地区(いわゆる城中村)に行けば当然あるのですが、大通りではすでに地下への移設が完了しており、日常生活では電信柱を意識することは少ない状況です。

タイではタクシン政権の崩壊以降、大規模な開発計画がとん挫しており、プラユット政権は「タイランド4.0」という標語で新開発構想を打ち出しています。しかし、正直なところ、私は首都バンコクの街中をみてインフラ面の疲弊を若干感じてしまったのも事実です。来年と予想されている選挙以降、新たな政権の誕生を契機として都市インフラの再構築が求められているのではないでしょうか。

IMG_20170822_112903.jpg

EEC(Eastern Economic Corridor)の事務所を訪問した際に、建物の外に掲げられていたポスター。1.0の農業経済から2.0の軽工業化、そして3.0の重工業化をへて、4.0はロボティクスやAIを含む5つの新産業の振興を目指しています。

4.そしてバンコクには日系スタートアップコミュニティがある

最後に驚いたのはバンコクで企業や事業開拓をしている日本人の若者がおり、ある種のコミュニティを作り始めているということでした。東南アジア地域でウェブサービスや広告事業を展開する日本人が、層として存在するのに対して、中国では国内業者間の競争が激しく、日本人の若者が食い込んでいるという話は聞くことが少ないわけです。こうしたコミュニティの存在は、ある意味で東南アジアと中国のビジネス環境の差異を反映しているのかもしれません。

IMG_20170821_220029.jpg

越さんにお声がけいただいて参加した飲み会。これでも会の終盤で、人数が少なかった回とのこと。上海でもこのくらいのことはできるでしょうか…。深圳では現状ではこの感じの飲み会は、ニコ技深圳観察会の開催時やイベント開催時に限られています。

IMG_20170823_161749.jpg

飲み会で知り合った、Donuts現地法人の荒金さんにご案内頂いたバンコク支社。70名の従業員のうちで日本人は荒金さんのみで、ゲームのローカライズからスタートし、現在ではタイの女性向けサイトSistacafeや不動産サイトEstopolisの運営が好調とのことでした。日本のウェブ会社が中国で成功しているという事例はあまり聞かないので、自分には新鮮でした。

IMG_20170823_161307.jpg

オフィスの4階では運営するサイトでの広告写真の撮影が行われており、色合いの調整をしているところ見学できました。

 

伊藤亜聖のページです

 中国に軸足を置きながら、アジア、そして新興国の経済を研究しています。ここにはメモのような雑文を書いていこうと思います。
 上の写真は中国広東省、深圳市の海上世界という場所です。昔は海だったようですが、いまでは埋め立てられて、ファッショナブルなショッピングモールやバーが並ぶ場所になっています。