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深圳在外研究メモ No.31 深圳テクノセンター訪問編~来料加工制度は終了へ、中国国内需要の開拓と難加工への挑戦

深圳の日系企業といえば、大手複写機メーカーや家電メーカーと並んで、テクノセンターの存在を指摘できます。現在の第三期は深圳市の北部、観欄にあり、現在19社が入居しています。

テクノセンターは1992年に開設され、来料加工の形態で多くの日系企業の現地進出をサポートしてきました。来料加工とは、加工貿易としての性質、すなわち原料を無関税で持ち込み、製品を輸出する形式に加えて、香港法人から華南の村への委託という形態をとることで、直接投資形態をとらない(つまり中国で法人を設立しない)、特殊な加工貿易形態です。

今回の在外研究中にも、テクノセンターのまさに開拓者である石井次郎さん、そしてテクノセンター総務部の西村三沙さんに加えて、さらには入居されている企業にも何社かお邪魔させていただき、お話を伺っています。

テクノセンター、そしてこの加工貿易の姿については、関満博編著『深圳テクノセンター 中小企業と若者に「希望」と「勇気」を』(新評論、2009年)に詳述されています。2009年というリーマンショックの影響色濃いタイミングで出版されたものですが、国内市場の開拓の重要性など、その後の方向性が指摘されています。私は大学院時代に、大学は別だったのですが関ゼミや隅田塾(関先生が次世代経営者に向けて開催するセミナー)に何回か顔を出させていただき、現場を駆け回るスタイルに刺激を受けたものの一人です。確か、当時、関先生は「同時代の証言」というような表現で、調査資料をまとめた書籍(自嘲気味に「この厚さなら枕にできるぞ」と言っていました)の量産を肯定していたと記憶していますが、実際にこうして興味深いタイミングの記録が残っていることは貴重です。

2009年以降の変化として、とくに重要なことは、2018年8月末でテクノセンターが持っている来料加工のライセンスが切れる予定であるという点です。来料加工は、テクノセンターと地元の村政府との契約という形をとるため、テクノセンターの契約が切れた後には、個別企業が独自で来料加工契約を持っていない場合には、そこで来料加工は終わることになります。西村さんのお話によると、8月末にライセンスが切れるとすると、最後の来料加工輸出は来年3月末までに終わらせる必要があるため、もうすぐ、テクノセンターとしての最後の来料加工輸出を迎えることになります。

華南、とくに東莞深圳地域の発展をもたらしてきた来料加工制度ですが、2008年金融危機後の広東省省書記、そして中央政府の方針もあり、来料加工での生産から、独資企業法人を設立する形態(いわゆる独資化)の動きが長らく続いてきました。東莞ではまた違った状況のようですが、テクノセンターでは独資化によって、現時点で訪問させていただいた企業の中には二つの方向性がありました。第一は中国国内の需要の開拓(中国に進出している日系企業、そしてローカル企業をともに含む)です。あの会社では独資化のタイミングで、来料加工時代にはいなかった営業部隊を立ち上げ、日本からエース級の営業を駐在させることにしたそうです。もう一つの方向性は、難加工への対応です。業務としては引き続き日本国内市場向けの金属製品の加工をしながらも、もはや日本国内で見つけることが難しいレベルの金型を深圳で製造し、それによるプレス加工を強味にしている企業でした。こうした取り組みがポスト来料加工時代の、日系中小製造業の方向性と言えるかもしれません。

かつては5000人を超えるような大運動会が開かれていたテクノセンターですが、現在は運動会の代わりにバーベキュー大会が開催されるという情報を耳にしたので、またそういったイベントにも参加してみるつもりです。ベンチャー企業やニューエコノミーが注目を集める深圳ですが、日系中小企業が築いてきた蓄積が、これからも活かされる方法があるのではないか、と最近考えています。

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テクノセンター(日技城)入り口。

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入居企業の看板(運営会社なども含む)

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石井次郎さんと。

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見せていただいた1997年6月、2.5期工事起工式の様子。

 

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