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深圳在外研究メモ No.36 南山ソフトウェア産業基地のRocketspaceでVRとAIベンチャーに出会う編~「深圳市南山区的なスタートアップ」とはたぶんこんな感じ

深圳市のベンチャー企業の新たな集積地が南山区に生まれており、その中でもソフトウェア産業基地が一つの拠点となってきたことをはすでに何回か取り上げてきました。メイカーフェアー西安の主催者であるKevin率いるMakerNetが、9月に福田区のコワーキングスペースから南山区ソフトウェア産業基地のRocketspace Shenzhenに移転したこともあり、Rocketspaceに最近時々お邪魔しています。

Rocketspaceはサンフランシスコに本拠を置くコワーキングスペース運営会社で、Uberをインキュベートしたという実績を誇り、現在深圳を皮切りに中国国内での拠点拡張を進めています。今回Rocketspace Shenzhenのキーパーソン、Leoの好意もあって、日本のスタートアップやVCの訪問に合わせて小さなイベントを開催してくれました。Rocketspace Shenzhenのスタッフで、今後はRocketspace Beijingの運営を担当するIphieさんが最初にスペースの概況を案内してくれたあとに、5社の関連ベンチャーがプレゼンをしてくれました。

以下はその様子です。

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訪問団の様子。オープンスペースでやっているのでだんだん人も増えていきました。

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はじめにIphieさんからRocketspaceについての簡単な説明。出張直前にも関わらず企画を受けてくれてありがとうございました。彼女は早稲田大学で4年学んだ方で、英語がとても達者です。

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おそらくすごく大事なスライド。”Global Ecosystem”の一言。世界に横展開して、スタートアップをインキュベートする、という方針。Shenzhen Campusは今年6月にオープン。現在19のスタートアップが入居。8か国の出身者、15の産業というダイバーシティがあり、最近は沢山のイベントも開催しています。日本からの入居チームまだない状況で、絶賛募集中とのこと。入居費だいたいいくら、と聞いたら「へへ、それは内緒だな、君たちがどれだけcoolか次第だね!笑」と言われました。Coolな人は是非どうぞ。

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最初にプレゼンしてくれたフランスのVRベンチャーⅩⅩⅡ(Twentytwo)のJuian。本国に60名の従業員がおり、深圳には6名。VRを活用したメディア/エンターテイメント系のサービスを提供しており、とくにフランスのテレビ局のVoiceという番組では最大100万人が同時にVRによる歌唱審査員を体験したとのこと。

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二社目のMalong TechnologiesのNoraさん。めちゃめちゃ盛り上がりました。6月頃に世界的な画像認識AIコンテストで深圳のスタートアップがグランプリをとったというニュースがあり、その会社には興味があったのですが、話を聞いていくとこの会社でした。画像認識を中心としたAIの開発とそれによるオーダーメイドソリューションの提供を行っており、「AI×EC」、「AI×ファッション」といった切り口で、BtoBのAIソリューションを提供。この写真は画像認識技術を使って、清明上河図を認識した画面で、「人」、「動物」、「乗り物」をそれぞれサークルで囲んで認識していることがわかります。

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もう一つ盛り上がったのは、売れている服の画像を処理することで、どの色が過去に流行ってきたかをはっきり示すこの図。「今年は赤が来ています」というトレンドを具体的なデータ、さらには顧客属性ごとに示すことが可能になっています。データベース次第ではこのような処理がすでに可能になっていることを初めて知りました…。

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三社目の66iFuelのCuiさんとRocketspaceのLeo。66iFuelは電気自動車向けのパワーステーションのビジネスを行っており、どの車種、どの支払いプラットフォームにも対応するシステムを開発しているベンチャー。CuiさんはTencentで有力なエンジニアであったとのこと。

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四社目のMaybeのMengさん。スタンフォード大学、清華大学などの卒業生が立ち上げたディープラーニング用チップセットの開発ベンチャー。MengさんはサンフランシスコのYcombinatorにもいたとのことで、ハイプロファイルな開発陣営で、今後ニーズが見込まれるローカル端末内、しかもスマホではないスマートデバイス端末におけるディープラーニング用チップの開発を行っているとのこと。製造はTSMCと協力しているらしく、あふれ出る自信が印象的でした。

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5社目は、360度カメラのKANDAOのLionelさん。かなり時間を押してしまったのであまりじっくりお話を伺えなかったのですが、6つカメラがついた360度カメラで、デプスが取れ、さらにステッチの精度も高いというプレゼンでした。

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3社の処理を見比べて、ステッチの精度が高いことを示すLionelさん。

南山区に集まるVR、AI、EV関連スタートアップの一端をRocketspaceで見たわけですが、グローバルなエコシステムのなかで、とくにハードウェアのサプライチェーンに近いことを活かしながら深圳でベンチャーが生まれていることが確認できたと思います。彼らを引き続き追いかけていこうと考えています。

深圳在外研究メモ No.35 深圳エレクトロニクス産業と自動車産業はどうつながるか編~スマートバックミラーから曲面ダッシュボード、そしてBYTONによれば車はスマートデバイスへ

中国南方の経済の中心、珠江デルタ地域には、デルタ東南には深圳市を中心としたエレクトロニクス製品のサプライチェーンがあり、一方で北の広州市には自動車産業のサプライチェーンがあります。企業訪問をしていると、感じることは、現状では広州と深圳のサプライチェーンの間には大きな壁があり、相互の間には直接的な連関が薄いのが実情です。この背景には自動車部品の特に機能部品の場合には人命にかかわるために極めてハードルが高く、サプライチェーンの管理も厳しく新規参入が困難であるという事情があります。深圳には電気自動車を生産するBYDがありますが、まだその生産台数は限られています。深圳の間にある東莞市では、企業によってはエレクトロニクス製品にくわえて自動車関連部品を、とくに非機能部品分野で担っており、この意味で面白い地域になっています。

ただ、深圳市と自動車産業との関係が無いか、といえば、自動車産業の電子化に伴って徐々に見える形での融合が始まっているようにも思います。一番簡単な事例は、スマートバックミラーです。日本では搭載不能かもしれませんが、深圳ではバックミラーにアンドロイド端末が内蔵され、SIMカード内蔵して地図上に現在地を表示し、言語認識で行先指定などができ、端末背面にあるカメラで撮影された映像を内蔵SDカードに録画するドライブレコーダー機能がついた端末をよく見ます。現物の写真はこの投稿の下記に掲載しておきます。

よりハイエンドかつ組み付け部品の事例も挙げることができます。BYDの秦100にはすでに12.8インチのディスプレイが搭載されており、Teslaにかなり近いダッシュボードとなっています。このブログでも何回か言及している通称「山賊王」ロビンの工場でも、ダッシュボード用のタブレット端末を生産しており、組み付けサプライヤーとしての納入と、アフターサービス段階での内装変更市場の両方に納入をしていました。また世界で開発競争が進んでいるフレキシブルディスプレイ分野では、深圳で注目されている柔宇(ROYOLE)が開発を進めている曲面ダッシュボードを挙げることができます(CES2016にて発表)。

加えて、現地の報道によればEMS大手のFoxconnはすでにTeslaの128部品を製造していると言われています。Foxconnは江蘇省昆山市にバッテリー工場の建設に250億元の投資を行うことを発表しているほか、Tencentと共同で電気自動車ベンチャーである和諧汽車に出資しており、この分野を探っていることが明確です。

FoxconnとTencentがからむプロジェクトで興味深い事例は、電動車スタートアップ、Future Mobility社のコンセプトカーBYTONです。BMWで電動車プロジェクトに携わっていたCarsten Breitfeld氏がCEOを務め、このほかにもTOYOTAの製造とTeslaの購買担当を経験したMark Duchesne氏も合流しています。Crunchbaseの情報によればFuture Mobility社はTencent, Foxconn, Suning(蘇寧)等から合計2億ドルの出資を得て、南京に本社を構え、工場も南京への建設が決まっています。本拠が南京であるので、深圳とは関係ないとも言えそうですが、TecentとFoxconnが絡む点は今後注目が必要でしょう。

BYTON社の動画を見ると、タイトルが“It’s not a car, it’s a smart device(車ではなくスマートデバイス)“、中身を見てもスマートフォンからシームレスな自動車、というよりもモビリティを目指しているようです。Face Recognitionによる開錠、他のスマートウェアラブル端末との同期、ハンドモーションによる操作・・・。ダッシュボードは存在せず、ハンドルの奥が全面ディスプレイとなっています。そして自動車としての乗り心地などには一切言及していません・・・。そうこれは「自動車ではなくスマートデバイス」だからです

これまで自動車とエレクトロニクス産業、別言すれば珠江デルタでは広州と深圳は少し遠い別産業というのが実情だったかもしれません。しかし2020年代には、この両者が融合していく可能性もあるかもしれません。南京に本拠置き、世界6拠点立ち上げ、元BMWの人が創設、FoxconnとTencentとSuningから2億ドルの出資を得て、電動車ベンチャーが生まれる。そんな時代に我々は生きています。

 

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電気街華強北の賽格(SEG)ビル二階の様子。国慶節も明けて活気が戻ってきました。

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電気街の数か所で配布されているフリーペーパーの中に「汽車電子」という冊子があります。中を見ると・・・

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スマートハードウェアの製造メーカーのなかで、特に車載系のハードウェアを開発製造しているメーカーの広告が掲載されています。

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スマートバックミラー、スマートダッシュボードが並んでいます。

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実際に市場に並んでいるスマートバックミラー。要するにアンドロイド携帯が入っているので、電話も、地図も、通信料の支払いも、ビデオ録画も、WeChatもできます。

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地図の表示画面。地図アプリの言語認識機能を使えば「○×ビル」と言えば、そこまでのナビゲーションが始まります。

 

 

深圳在外研究メモ No.34 深圳開催のWTOグローバルバリューチェーンコンファレンス2017に参加してみた編~サプライチェーンにDigitalizationとChina Effectを入れたらどうなるのか?

10月12-13日に深圳市にてWTOが主催したコンファレンス、2017 Global Value Chain Innovation Development Summitにパネリストとして参加しました。2015年から開催されており、今年はWTOのチーフエコノミスト、Robert Koopman教授が呼びかけ人となっていました。テーマは国際価値連鎖(グローバリューチェーン, いわゆるGVCs) で、私の理解では既存のバリューチェーンに、(1)中国の影響(China Effect)、(2)デジタル化(Digitalization)を入れると何が起きるのか、という点に議論が集中していたと思います。

登壇者は投稿の末尾に載せておきますが、Robert B. Koopman (Chief Economist, WTO)、Gary Gereffi (Duke University)は付加価値貿易論や国際価値連鎖の大家ですし、Pankaj Ghemawat(New York University)は国際ビジネスの議論で著名です。これらのメンバーとGVCsの未来を議論できた、とても贅沢な二日間でした。私はこの分野で全く成果を挙げていないので、たまたま深圳にいたから声がかかったわけで、ラッキーでした。

1.セッションの構成

セッションの構成は、以下の通りです。

(1) NEW TRENDS IN GLOBAL ECONOMY, GLOBALIZATION AND GVCS

(2) SESSION 2: THE GOVERNANCE OF GLOBAL VALUE CHAINS

(3) SESSION 3: HOW TECHNOLOGICAL INNOVATIONS, SUCH AS AI, ROBOTICS AND BIG DATA CAN HELP GVC UPGRADING?

(4) SESSION 4: REGULATORY FRAMEWORKS FOR GVC UPGRADING AND ECONOMIC AND INNOVATION CLUSTERS

最初にセッション1でグローバル化そのものを議論し、セッション2でそのガバナンスの議論をGereffi先生を中心にして、セッション3で技術、とくにAI、自動化、ビッグデータがGVCsにもたらす影響を、そしてセッション4で政府の役割を議論するという流れです。私はセッション3にパネリストとして参加しましたが、当初声がかかった時点でのセッション3は「イノベーションと政府の役割」のようなテーマだったのですが、しばらくしてからAIとビッグデータの役割という点に焦点が変わり、驚いたのですが、結果的には非常に刺激的なセッションになりました。

2.全体を通じた重要な論点

 2日間の中で論点となっていたのは以下の4点だと思います。

論点1. Globalizationが逆流しているようにも見えるがどう考えるべきか?

この論点についてはいくらでもすでに研究があると思うのですが、学者に加えて政策担当者や企業家も登壇したことで、米国トランプ政権の影響やその背景、グローバリゼーションによる受益のあり方の不均一性が論点となっていました。

基調講演をしたPankaj Ghemawat教授は、いくつかのデータから見て、グローバリゼーションが退潮しているとは言えず、特にこの数年間に国境を越えたデータのやり取りが急激に伸びている点を重視していました。従来の貿易や投資関係に加えて、データのやり取りが新たなトピックになっている、ということになります。

論点2.DigitalizationはGVCsにどのような影響を与えるか?

第二の、そして2日間を通して最も頻繁に議論されたのは、経済のデジタル化、そしてAI、ビッグデータ(およびそのプラットフォーマー)、ロボティクス/自動化といった要因が世界の価値連鎖に与える影響でした。明確な議論の方向性が見えなかったことも事実ですが、それだけ様々な意見が提出されていたとも振り返ることができます。Koopman教授が基調講演で、3Dプリンターの発展が、中間財生産のローカル化を通じて、世界の貿易量を大きく減らす可能性があるという研究を紹介していたのは面白かったです。

この論点を特に議論したはセッション3でした。セッション3の論点提供者だったJeongmin Seong(Senior Fellow, McKinsey Global Institute Asia)は、むしろ新しいレベルのグローバリゼーション、とくにデータのやり取りとAI/機械化の影響の広がりが起きると指摘していました。とくにAIの影響は、仕事の性質によって影響を受け、判断が必要ない単純作業ほど自動化されていくため、その影響は特に今後新興国ほど現れるだろうと述べていました。中国におけるイノベーションのパターンについても指摘していたのですが、とても密度の高い報告だったと思います。

この他に印象的だったのは、James K. Lockett(Vice-President and Head of Trade Facilitation and Market Access, Huawei Technologies)が「DigitalからIntelligentへと進む。Smart PhoneはIntelligent Phoneになるだろう。今までは人間がスマートフォンの使い方を学習してきたが、今後はスマートフォンがあなたを学習するようになる(now you learn your phone, but in the future, your phone will learn you)。これは不可避の方向性だ」といった指摘をしたことでした。your phone will learn youは結構なパワーワードで、昼食の時も話題になりました。あとは「データは新しい石油だ」説を皆どう見ているか、などというざっくばらんな議論もありました。HUAWEIのJamesが「石油じゃないよ、適当な比喩じゃない。そもそもデータは物じゃないし。」と言って、それに対してビッグデータ屋さんのBarcoが「データの種類と掘り方(アルゴリズム)次第でしょ。意味のないデータも多いし、整理されていないデータはまあ価値は引き出しにくいけど、腕次第でもある」みたいなやり取りがあって、この議論はもっとじっくりしたかったと感じました。PankajやJeonmingが指摘した「越境データフローの増加」についてはIvanとご飯を食べているときに、「データフローの中心は動画だろうから、ぶっちゃけみんながYoutube見ているだけなのでは」という議論もなかなか面白かったし、このあたりはすこしデータを探してみたいところです。

私はセッション3のパネルセッションでは(1)会議全体の論点の整理をしたうえで(2)日本におけるIndustry4.0を巡る議論の進展(トヨタ生産方式との異同を巡る話など)、(3)深圳まわりで、工場内での自動化やシステムの効率化は見られているが、個別工場を越えたサプライチェーンレベルでのデジタルな同期化は、自分が見た中ではあまり感じられていないこと、を指摘しました。

論点3.China EffectはGVCsにどのような影響を与えるか?

もう一つの重要な論点は、中国の影響で、その中には(1)中国の国内市場から育ってきたAlibabaをはじめとする巨大なプラットフォーマーが与えうる影響、(2)一帯一路の影響も含めて、中国から世界への貿易投資の動きが今度どうなり、何が起きるか、(3)深圳はこの新しい時代にどのような役割を果たすことができる、が含まれていました。正直GVCsのコンファレンスで一帯一路がでてくるとは想像していなかったのですが、OECDの研究所でも議論がされているようです。

論点4.国際機関、政府(地方政府を含む)の役割はどう変わるか?

最後の論点は、Digitalizationの時代にWTOのような国際機関、そして政府はどのような論点に直面し、どのような政策を実施すべきか、という点です。直面する課題の筆頭は、データの管理の問題で、データ利用について規制をすべきか、データ利用による企業の応用をどこまで見守っていくべきか、という点です。そしてデジタル化の時代に、政府はどのようなイノベーション政策や関連政策を実施すべきか、という論点も含みます。深圳市政府は広域地域開発計画(ビッグベイ)によって、サプライチェーンの広域化を図りながらも、人材への優遇政策を実施することで、そして企業のニーズを掘り起こしていくことを重視しているようでした。

Zheng Yanlingさんが総括の挨拶で、「アリババはプラットフォーマーとかエコシステムというけど、結局閉鎖的で、強引にベンチャー企業を買収しているようにも見える。でもアリババが好きな人も、アリババが嫌いな人も、アリババがやっていることを恨むことはできない、なぜなら彼らは技術によって発展を追求しているだけで、彼らには責任はないからだ。好きでも嫌いでもデジタル化、技術の進歩は止まらない。」という趣旨の発言をしていて、中国の現場で、体験している人ならではの切迫した言葉ゆえの説得感がありました。閉会の挨拶のなかでKoopman教授が来年も開催すると言っていたので、また声をかけてもらえるように努力したいと思います。

以下は会議の様子です。

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Pankaj Ghemawat教授によるプレゼン。このタイトルの本がでているらしいです。

 

 

越境データフローが増えていることを強調。

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Koopman教授による、分類別付加価値貿易額の推移の解説。

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Koopman教授が紹介した3Dプリンターが世界の貿易に与えうる影響の図。

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Gereffi教授のプレゼンの目次。DigitalizationがGVCsにどのような影響を与えるかを正面から取り上げて議論をしようとしていたのが印象的でした。

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マッキンゼーのJeongmingさんの報告。個人的に一番刺激的なプレゼンだったと思います。

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自動化って新興国に一番影響与えるんじゃないの、というスライド。単純労働ほど自動化されやすいということを単純に適用したのか、労賃の安さ(相対的な自動化コストの高さ)までを考慮したものなのか気になります。

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セッション3の様子。JamesがHuaweiを紹介しているところ。

 

登壇者は次の通りでした。

2017 Global Value Chain Innovation Development Summit(SHENZHEN)

 

Yi Xiaozhun, Deputy Director-General, World Trade Organization

GU Xueming, President, Chinese Academy of International Trade and Economic Cooperation, MOFCOM

Zheng Yanling, Secretary-General, Shenzhen Logistics and Supply Chain Management Association (SLSCMA)

Session 1:

Robert B. Koopman, Chief Economist, World Trade Organization

Pankaj Ghemawat, Global Professor of Management and Strategy and Director of the Center for the Globalization of Education and Management at the Stern School of Business at New York University and Anselmo Rubiralta Professor of Global Strategy at IESE Business School

Marion Jansen, Chief Economist, International Trade Centre (ITC)

Hubert Escaith, Visiting Scholar at Shanghai University of International Business and Economics (SUIBE) – WTO Chair Programme

Eric Thun, Peter Moores Associate Professor in Chinese Business Studies at Saїd Business School, University of Oxford

Xiao Feng, Vice President, Onetouch Alibaba

Session 2:

Gary Gereffi, Professor and Director of the Center on Globalization, Governance & Competitiveness at Duke University

Deborah Elms, Executive Director, Asian Trade Centre

Hubert Escaith, Visiting Scholar at Shanghai University of International Business and Economics (SUIBE) – WTO Chair Programme

Eric Thun, Peter Moores Associate Professor in Chinese Business Studies at Saїd Business School, University of Oxford

Li Guanghui, Vice President of Chinese Academy of International Trade and Economic Cooperation, MOFCOM

Feng Xiangyang, Director, Futian District Enterprise Development Service Center

Gao Wei, Chairman, Shenzhen Run In-time Supply Chain Management Co. Ltd.

Marion Jansen, Chief Economist, International Trade Centre (ITC)

Session 3:

Zhongxiu Zhao, Founding Dean of Research Institute for Global Value Chains, Vice‑President, University of International Business and Economics, China

James K. Lockett, Vice-President and Head of Trade Facilitation and Market Access, Huawei Technologies

Jeongmin Seong, Senior Fellow, McKinsey Global Institute Asia

Asei Ito, Associate Professor, University of Tokyo

Barco You, CEO Founder Dasudian Technologies

Ivan Uemlianin, Cheif Scientist & Co-founder Dasudian Technologies

Zhang Ye, CEO, AEE Technology

Mia Mikic, Director of Trade and Investment Division, United Nations Economic and Social Commission for the Asia and the Pacific (UNESCAP)

Session 4:

Rihong Liu, Deputy Director General, Policy Research Department, MOFCOM, China

Qu Jian, Vice President of China Development Institute (CDI)

Annalisa Primi, Head of Structural Policies and Innovation Unit & OECD Initiative on GVCs, Production Transformation and Development, Development Centre, Organization for Economic Co-operation and Development (OECD)

Deborah Elms, Executive Director, Asian Trade Centre

Helmut Kergel, Director, European Secretariat for Cluster Analysis

Qiu Pu, Senior Vice President, Eternal Asia

Lu Wenrong, Chairman Assitant, YH Global

 

現地メディア報道:

http://sz.people.com.cn/n2/2017/1013/c202846-30826234.html

深圳在外研究メモ No.33 深圳のゲノム・ジャイアントBGI傘下の国家基因庫(China National GeneBank)訪問編~研究院の執行副院長は30才、まるで大学の雰囲気

エレクトロニクス産業が現状では支柱産業となっている深圳市ですが、AIや医療/バイオベンチャーの存在も徐々に耳にするようになってきました。なかでも世界的に著名なのが、世界最大の遺伝子解読(シークエンス)の能力を誇るとされる、BGI(華大基因)です。

BGIはBeijing Genomics Instituteの略称で、その名の通り、元来は1999年に北京に設立された研究所でした。WIRED記事「中国のゲノム研究所、「究極のシークエンサー」の開発に着手」でも紹介されている通り、2010年にBGIが当時世界最速のシークエンス機であるIllmina社のHiSeq200を128台購入したことで、一気に世界最大のシークエンス機関となったことが特に著名です。最近ではBGI傘下の一社である華大基因股份有限公司が深圳市証券取引所に上場しています。

中国国内の報道に記載されたBGIの歴史を要約すると次のようになります。。

第一段階(1990年-1998年):キャッチアップ段階

1990年に「ヒトゲノム計画」が始動したとき、英国のSangerゲノム研究所のポスターに書かれていた“buy one or get one free?”という挑発的なタイトルに、楊焕明、于軍、汪建らは大いに触発を受けた。1997年に湖南省での会議で、彼らは先見的な戦略を提案し、1998年8月に中国科学院遺伝研究所にヒトゲノムセンターが開設された。しかし当時は中国国内はヒトゲノム計画に参加すべきか意見が大きく分かれていた。

1999年に汪建らは独自にヒトゲノム計画に「中国代表」として参加申し込みを行い、米国、英国、日本、ドイツ、フランスに続く6か国目として正式に参加することとなった。

第二段階(1998年―2006年):参加と合流

1999年9月9日、ヒトゲノム計画の「中国部分」を担当することを担う研究所として、北京華大基因研究中心を正式に登記する。2000年6月26日、6か国16研究所の努力の結果、米国のクリントン大統領と英国のブレア首相が「ヒトゲノム計画」のワーキングフレームワークを発表した。この結果、時の江沢民国家主席は汪建らを誉めたたえ、BGIは一夜にして中国国内で著名となった。

この間、様々な原因によって、BGIは杭州に移転し、一度は国家体系から離れたが、愛国心を放棄したわけではなく、むしろ2003年のSARS流行時には病原体の遺伝子配列を分析し、30万セットの診断キットを寄付した。この結果、2003年4月、胡錦涛国家主席から表彰され、BGIは再び国家体系の中にもどった。しかし当時の毛細血管測定技術ではコストが落ちず、これが原因で2006年に再び制度的な壁にぶつかることとなった。

第三段階(2006年-2013年) 並走と超越

新シークエンス技術の登場のタイミングで、2007年、汪らは深圳市政府の支援のもとで、南下し、深圳で「中国人遺伝子図」プロジェクトを始動する。その後、更に1000人のヒトゲノムの解読を行ったが、これらはすべて国外のシークエンス機械によって達成されたものであった。

第四段階(2014年-2022年)飛び越えとけん引

BGIは2013年に米国のシークエンス機メーカーを買収し、設備の国産化に着手し、更なる発展を目指している。

上記の書き方は表向きという感じで、BGI参加のデータセンターを今回訪問するなかで、国家体系のなかを意味する科学院に入った時期(SARS解読の貢献の後)には、研究所の運営を巡り衝突があったとのことです。これが、科学院を離れて、独自の企業形態で深圳市に2007年に移転したことにつながります。

シークエンス機器については現状では買収した米国企業での開発が主力とのことでしたが、深圳市にはFoxconnやHuaweiをはじめとしてエレクトロニクス産業の蓄積があり、深圳市でシークエンス機器が製造されるようにすでになっているか、あるいは近い将来になると考えるのが自然でしょう。

以下では今回訪問できた、BGI傘下のデータセンター、国家基因庫(China National GeneBank)の様子を紹介します。

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大鵬新区にある国家基因庫(China National GeneBank)のビル。

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ロゴは「2つのプラットフォーム、3つのデータベース」を表象しているとのことでした。2つのプラットフォームとは、シークエンスと組み換えのプラットフォームを意味し、データベースはサンプルデータ、遺伝子データ、そして生体データを意味しています。合計で現在60ペタバイトのデータを管理しているとのことでした。

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入り口ではマンモス像にスローガンである「永存、永生」が記載されている。

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開放感溢れる館内。

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案内してくれた執行副院長は1987年生まれ、湖北省でセンター試験No.1(中国語では「高考状元」)で北京大学に入ったという方でした。北京大学卒業後、デンマークで博士を取り、BGIに入社したとのことで、中国の人材の若さと厚さを目の当たりにしました。BGIでは研究方面で成果を出す研究者としての評価のほかに、プロジェクトの運営で成果を出すことで評価されるポジションもあるそうで、彼は後者に属するそうです。

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シークエンス機器、サンプル数、データ量、論文糧、産業での収入の推移。

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シークエンス機が並ぶ部屋。大きな部屋に100台以上がならび、部屋の中には4名程度の従業員がいるだけでした。

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最も印象に残ったのは、フロアの壁に書かれた手書きと張り紙。これは創業者である汪建が自ら手書きで書いたものらしく、BGIの方向性や方針が生々しく頭を動かしながら作られている姿が目に浮かびました。大学教授の研究室ではよくホワイドボードに研究構想や数式が並んでいますが、それに近い印象です。また案内してくれた方も、汪健氏のことを「汪老師(汪せんせい)」と呼んでおり、「汪総(汪社長)」などとは一言も言わなかったことも、研究寄りの機関としての特徴を感じさせました。

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「大民生、大産業、大科学」のトライアングル。左上には「健康中国」、「一帯一路」といったキーワードもあります。

 

 

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屋外の看板をよく見ると、粟がはいっており、これはBGIでは植物の解読も進めていることがあるとのことでした。BGIにはフラミンゴまでいて、自然あふれる環境に研究所を作っている方針が明確です。

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お昼時の食堂。この写真だけを見たら大学の食堂と言っても通じるかもしれないですね。平均27才ということでした。

深圳在外研究メモ No.32 深圳イノベーション·アントレプレナーシップ・ウィーク2017編~テーマは「深圳と創造しよう」

 2015年以来、中国では創業と創新(イノベーション)の二つの「創」のいみで、「双創週(通称イノベーションウィーク)」が開催されています。期間は9月15日から21日で、深圳での正式名は「全国双创周深圳活动暨第三届深圳国际创客周」、イノベーションウィーク自体は全国のイベントなので、その深圳分会という位置づけです。なかでも会展中心で開催されている展示会が最も規模の大きな展示で、このほかに市内の各地で関連イベントが50以上開催されています。

昨年のイノベーションウィークでは、李克強首相主催、そしてアップルのティムクックまで列席した会議が開催されましたが、今回は党大会前というタイミングで、政治的には控えめの開催だったと感じました。内容としては深圳のロボティクス企業やメイカースペースの展示が並んでおり、メイカーフェアーよりはずっと公式的な展示、例えば研究機関系の展示が多く、これはこれで新たな側面を垣間見ることができました。

以下、写真。

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2017年9月17日(日)午後の様子、それほど来客は多くなかったのですが、展示の中身は濃かったと思います。

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メイカースペースのパビリオン。3W、柴火、Segmaker、星雲などに加えて、知らないスペースもずいぶん並んでいました。

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ドローンパビリオン。DJIは出展していませんでした、農業用ドローン、ホビー用ドローン、グループコントロールの会社が出展していました。

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キーワードの「深圳と創造しよう」。

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自走する、しゃべる、自販機。画像認識で人を見つけて、追いかけ、約50cmまで接近し、声をかけて営業をかけ、QRコードでの決済。買わない場合には広告を流しながら他の顧客に向かう…。

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折り畳み式電動二輪。すでに金型を作り、量産体制に入っているとのこと。

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水中ドローンFifish(QYsea)と共同研究した水中無線モジュールを展示していたブース(左右に飛び出しているのが無線モジュール)。Fifishの初期プロトタイプは有線での操作が基本でしたが、すでに技術的に解消が近いことを知りました。

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ドローンの編隊飛行(グループコントロール)とダンサーの共演というパフォーマンス。あとから日本でもすでにライゾマティクスがドローンとダンスを組み合わせたパフォーマンスをやっているのを知り合いに教えてもらったのですが、機械学習までしているかどうかは不明。

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メイカー地図2017。イノベーションウィーク用に以前から作成されており、今回は2017年版に更新された模様です。今度昨年版との照合をしてみようと思います。

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分科会の一つ、9月16日に開催された「一帯一路メイカーサミット」。フランス、パキスタン、エチオピア、ペルーからメイカーコミュニティまたは科学技術政策担当者が来て、それぞれの報告をしていました。パキスタンからの登壇者が、「3Dプリンターは銃も作れるので、治安上の理由からパキスタンでは輸入が禁止されている。ただ、メイカースペースではパーツを輸入して組み立てている。」といった面白い話を紹介していました。中国から登壇者はなぜか、というかこのワークショップの開催者David LIとつながっているロビン・ウーでした。

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アフリカビジネスの重要性を説く、「山寨王」ことロビン・ウー。彼のプレゼンを聞くのは初めてでしたが、とても面白かったので講演の内容を要約しておきます。

 エチオピアをはじめ、アフリカによく出張してビジネスの機会を探っている。一帯一路の政策に沿って、この構想に貢献できることは光栄なことだ。いまはエチオピアでエレクトロニクス製品の組み立て工場をやっているほかに、現地のスマホの充電需要を満たし、なおかつWifiを提供するボックスも展開している。製造だけで儲ける時代はすでに終わっている。製造だけでなく、自社アプリをダウンロードしてもらい、そこからさまざまなサービスへの展開の可能性があるから、アフリカのジャックマーを目指している。

なぜ80年代生まれがアフリカにいくのか?当然、習大大の一帯一路に貢献するためだ。でもそのうえで、はっきり言って80年代生まれの中国人はもう深センでマンション買えないじゃないか。私も80年代生まれだ。アフリカなら買える。家が買える。ビジネスだって深センよりは楽だ。だから80年代生まれ、90年代生まれの中国人はアフリカに行くべきなんだ。毛沢東は「世界はあなたたちのものだ、そして私たちのものでもある。しかし結局のところ、あなたたちのものだ」といって若者を励ました。今の若者は、深センだけじゃなく、天下を見るべきだ。

製造業で頑張ろうとか忘れるべきだ。深圳についていえば、製造業だけでビジネスをする時代はすでに終わっている。製造業のことも、政府のことも、メディアのことも、この会議のことも、すべて忘れればいい。そこに残るのは自分だけだ。奮闘する精神だけ持ってアフリカでやればいいんだ。そこには中国の80年代のような高度成長が待っている。」

 

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アフリカのジャックマーを目指して展開中の端末。充電でき、映画や音楽をダウンロードできる。

 

現地報道:

2017深圳双创周来啦,让草根创新创业更接地气

http://www.sznews.com/news/content/2017-09/16/content_17317868.htm

協賛団体:
深圳市工業設計協会 http://www.szida.org/