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深圳在外研究メモ No.7 ニコ技深圳観察会 (2017年4月)を振り返る編

すでに深圳観察会の初日からだいぶ時間が経っていますが、深圳に滞在していることもあり、個人的には「過去のこと」という感じにはなっていません。出張ベースで調査でこちらにきても、飛行機で東京に戻ると通常業務に完全にスイッチが切り替わるので、なかなかじっくり振り返ることができません(在外研究期間でなければ、4月は基本的に講義とその準備にかなりの時間を使っているはずです)。今回は「頭の周波数」が変わることなく、少しずつですが考えることができています。

1.「観察会ツアー」という取り組み自体から学んだこと

No.2にも書きましたが、深圳観察会という存在自体が意味することは、第一に、非チャイナプロフェッショナルが興味を持ち、またエンジニアまたは企業家だからこそ理解できるという領域が中国に生まれた、ということでしょう。

そして第二に、テクノロジーとコミュニティの力で情報を収集し、刺激しあい、理解とコミットを深めていっています。下手な知識よりもアプリケーションを活用することのほうが有効である事実をまざまざと見せつけられました。これは中国に限らない話でしょう。

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Insta360のJKさんからサインをもらうShaoさん。

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2日目のレクチャーの後、柴火創客のバイオレットさんを囲む参加者たち(Takuさん、Tanakaさん、Konさん)。情報を得る、関わるには積極的に動くしかない、それしかない。

2.関連報道や文献について

深圳については情報も増えており、中国国外のメディアに限っても下記のものが最近出ています(ちょっとまえのWiredのビデオくらいまではカット)。

1)Learning from Shenzhen

深圳を経済発展と成功のユートピアと見る立場と、巨大な搾取が行われているディストピアと見る見方を、都市研究の立場から乗り越えようとする書籍。経済学的なアプローチのものは別の書籍であるのですが、問題設定はこの本の方がより面白いかなと感じています。

2)The Economist  SPECIAL REPORT “Jewel in the crown: Welcome to Silicon DeltaShenzhen is a hothouse of innovation

The Economistが珠江デルタ特集をしたうちの、深圳に関するアーティクルです。導入がまず面白い。

a scholar from Beijing duly set the tone by asserting that “order is important in the market.” But one of the local speakers livened things up by delivering a surprisingly stout defence of disruptive innovation.  Xu Youjun, vice-chairman of the Shenzhen division of the Chinese People’s Political Consultative Conference, a government advisory body, said Shenzhen owed its success not to the government or the Communist Party but to its policy of allowing people to go “beyond the planned economy”.

北京の学者が「秩序」を語ったのに対して、深圳の政治協商会議のメンバーが、「計画経済を超えることで成功してきた」と指摘した、という一幕を紹介しています。

the average value China adds to its exports is 76% (the EU’s is 87%). The World Bank reaches similar conclusions.

iPodの付加価値のうち、中国で付加されているのは5%という説がありましたが、最近の研究では輸出製品価格うち76%が中国国内で付加されているというデータが紹介されています。またDavid Liの次のような解説も紹介されています。

Silicon Valley is obsessed with rich-world problems, he thinks, but China’s open innovators work on affordable solutions for the masses

このほかに、企業としてはHax組が二社登場します。深圳に関する内容としては、私も参画した東洋経済の特集『深センメイカー革命』とも重なるのですが、The Economist誌は珠江デルタというより広い範囲を取り上げている点に特徴がありそうです。

(そろそろシンガポールニュースチャンネルの番組Smart Cities 2.0の特集に深圳が登場するらしいです)

3)青色LEDの中村先生が深圳にラボを開いていた

日本ではほとんど報道されていませんが、中村修二先生が深圳市にLEDの研究ラボを、昨年開設していました。現地記事によると、当時の深圳市の許勤市長も出席して開所式を開いていたとのことです。それによると、中村先生は「深圳はレーザー・照明技術の研究と産業化で優良な環境と唯一無二の条件を持っている」と言っています(ざっと調べた限り、日本語ではほどんど報道されていないようです)。ちなみにノーベル賞受賞者が統括するラボが今日時点で深圳には4か所あるそうです。

3.ツアーでの一言

他の参加者によるツアーの感想はこれからアップロードされていくと思います。私が参加している中で、ドキッとしたのは、深圳の新興企業や、電子決済の普及を見て回る中で、あるエンジニア兼社長が言った「こんな日本にしたかったんですよね」という言葉です。無論、これは深圳のベンチャー企業やメイカーズムーブメントを見ているなかで出てきている話なので、一般化はできません。また、梶ピエールさんのブログ「必読・中国社会の新しい動き」でも指摘される通り、情報の取り扱いが最終的にどのような事態をもたらすのか、引き続き注目が必要でしょう。上記のブログでは、圧倒的な応用の広がりと、もう一方での情報を誰かが掌握しているという事実をどう考えるか、という問題提起がされていると思います。

しかし、エンジニアが、深圳(あるいは中国)の製品や企業、あるいは電子決済といったシステムの普及のスピードを見て驚いているという現象も、また事実です。先日は私はある会合で、ドローンの最先端製品DJI Phantom4の分解図のレポート(テカナリエ社)を参加者に見せました。その時、参加していた経験豊富な複数のエンジニアが興味津々でレポートを眺め、ひとしきり議論したあと、一人の方が「ああ、ついに中国の製品をリバースエンジニアリングする時代が来たのか」と言いました。

この事実から何が言えるのか、何を言うべきなのか、どんな行動を起こすべきなのか、私は特に答えを持っているわけではありません。ただ、直観に従って、ここから見えてくる事実を体感し、研究していきたいと思っています。

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Ash Cloudでの集合写真。最後の最後になりましたが、高須さん、ありがとうございました!(深圳観察会(2017年4月)については、これでひとまずのまとめ)

『週刊東洋経済』にDJI、そしてドローンについて寄稿しました。書き足りなかったこと。そして『中国ドローン産業報告書2017』出します(送付希望受付中)

『週刊東洋経済』に寄稿しました

先週から『週刊東洋経済』にて、深圳に関する特集「メイカー革命」が始まっています。第一回は同誌記者の杉本さんによるHuawei、そしてゲリラ産業についての記事テカナリエ・清水さんによるスマートウォッチ解体記事

そして今週号に私はドローンの最大手、DJIの経営戦略、そして創業者フランク・ワンの思想について書きました。ぜひご一読いただければ幸いです。来週はアジア経済研究所・木村さん、そして再来週はチームラボの高須さんが寄稿します。

『週刊東洋経済』「飛来するユニコーン DJIの深層」

私の記事を要約して言えば、DJIは垂直統合化しつつあって、川上は半導体・カメラ部門への進出、そして川下はマーケティングの上手さだけではなく、ロボコンまで開催していることを述べています。いわゆるDJIの「アップル化」と呼ばれる状況ですが、DJIが自らを中心とした、ドローン産業の生態系の形成を進めていると表現できると思います。その背後には企業家のビジョンとエンジニアの奮闘があること、とくに創業者フランク・ワンの強烈な発言やリーダーシップも強調しました。ひょっとしたら将来的にはDJIはドローンからもはみ出していくかもしれないですね。

週刊誌でも把握不能なDJIのスピード

記事を補足する形で書きたいことがあります。記事にも書きましたが、DJIのスピード感覚についてです。記事を書き上げたと思ったら、さらに次々とリリースがでてきて、修正を余儀なくされました。たとえば、カメラメーカー・ハッセルブラッドを買収したニュースが1月にでていて、これは当初の記事に織り込み済みだったのですが、1億画素のカメラを搭載したドローンが2月23日リリース、さらにGS PROのアプリでの産業用途の制御も1月に拡充、そして産業用の耐久性を持つドローンMatrice 200シリーズが2月27日にリリース。トレンドとして、カメラ機能の向上、産業用途の拡充・新セグメント開拓というのは明らかだったのですが、具現化のスピードが尋常ではありません。

フランク・ワンの言葉

この背後には、DJIの企業組織、そして従業員の方のモチベーションも大きくかかわっていると思います。正直、会社の中の話は今後もっと検討が必要です。ただ、私の記事でも紹介したのですが、創業者フランク・ワンの言葉はなかなか個性的だと思います。記事ではごく一部しか掲載できなかったので、DJIのHP中国語版にのみ掲載されている文章を日本語翻訳して掲載しておきます。おそらく日本語訳、全訳は他にはないと思います。グローバルに活躍する企業家ってこうゆうものだと言われればそれまでなのですが、36歳の中国人企業家がこんなことを言っているということに注目しています。

 私は常々思う、皇帝がいわゆる最も美しく新しい服を着て街で遊ぶとき、子供だけが真実を指摘する勇気がある。しかし現在、こんなにも多くの社会問題があるが、大声でそれを責める子供すらもいなくなってしまった。事実上、苦悩なくして得られる成功など無く、PPTのみに頼って得られる富も無く、また天から降ってくるハイテクもない。卓越したものを追及するためには、無数の苦しく思索に耽る深夜を過ごし、72時間連続で働く執着心が必要であり、また真相を大声で言う勇気が必要だ。真に美しいものは極端な感染力を備えているが、我々はめったに世界を突き動かす科学技術製品や文学や芸術作品を持っておらず、文化的価値観の輸出が欠けており、舶来文化に従うばかりだ。

DJIはその真実を話す子供です。ここには、妥協せず、洞察力に満ち、夢を持ち続ける人が集まる。我々はかたくなに実業を行って投機はせず、功利主義ではなく夢を信じる。我々は全く新しい文化的価値観と思考方法論を堅持しており、これは創業から今まで変わらない。 DJIは一つのイノベーションのユートピアで、我々は夢を尊重する舞台を建て、純粋な企業環境を構築し、卓越して独自な製品の道と企業文化を探る。DJIのような企業は一社もなく、真実を求め正直さをもつ製品という理念ですべての細部を貫徹し、これを我々は誇りに思う。 10年間、DJIは業界のトップに立ち、グローバルな空撮の新時代を切り開き、世界を改造する無限の可能性を示してきた。我々の経歴が証明するのは、駆け出しの若者が他者に迎合せず、日和見的に投機せず、ただまじめに物事を行えば、必ず成功できる、ということだ。我々は常識に回帰し、奮闘を尊重する人が、最後には時代の機会を見抜き、最終的には世界を変えると信じる。 大きな道には限りはなく、イノベーションは無限だ。もしもあなたの志が高遠で、夢をもち、決心をして物事を行い、価値を創造し、このゆがんだ現実のなかで自ら疑い、放浪してやっていられないのならば、DJIに加わろう!ここで真実を知り、そして見通す人と会い、より多くの志を同じくする者と歩もう!未来には、不可能はない!

フランク・ワン

 

http://www.dji.com/cn/company より)

 業界関係者も認める製品の実績と完成度

今朝までドローン業界関係者との泊り込みのミーティング(慶応大学ドローンコンソーシアム・合宿)に参加していたので、実際に測量や撮影に使っている方々のお話もきけたのですが、今度発売されるMatrice 200は真上にも撮影できて、ズームも高倍率、しかも環境態勢も高いようです。6月発売とのことですが、いよいよ産業用ドローンのセグメントでもDJIが競争力を発揮してくる段階に入ったようです。

『中国ドローン産業報告書2017』書きました

ということで色々書いているわけですが、DJIだけを理解すれば中国ドローン産業がわかるとは思いません。法律、政策、DJIやその他の企業、業界団体などについて書いた報告書、『中国ドローン産業報告書2017 動き出した「新興国発の新興産業」』を、月末に所属研究所から刊行します。

研究費の成果なので無料で送付します。

こちらより、送付予約を受け付けています

(https://goo.gl/forms/qKkmJvnticpMxXe73)

正直、個別の論点についてはそれほど書き込めていないのですが、ざっとは業界のことがわかると思います。月末に研究所HPにてPDF形式でも公開しますので、そちらをご覧いただくことも可能です。お読みいただけましたら幸いです。

中国のベンチャー投資、2016年は意外に「冬の時代」だった?清科集団データから見る現状

中国のベンチャー投資が急増しているというニュースは日経新聞はじめ、かなり日本でも認識されてきているように感じます。すこし頼まれたこともあり、中国のベンチャーキャピタル(VC)、プライベートエクイティ(PE)関連のデータを提供している清科集団の公開情報をもとに少し調べてみました。日本語で読めるものがあまりないので、せっかくなのでメモとして残しておきます。

下記の表は同集団が公表している2016年の主要なベンチャーキャピタルのランキングです。ランキングは金額ベースというよりも、運用実績などを含めた総合的な評価となっているようです。金額的にはVCに区分されているところが大きく、3位にランクインしている深圳市創新投資集団の運用額は2000億元、3.2兆円程度とされています。同社は先日のNHK BSの特集でも登場した中国の老舗のベンチャーキャピタルで、1999年に深圳市政府によって設立され、これまでに699社に投資、119社が上場、このほかにもExitを果たした企業が多数あるそうです。このほかにSequoia Chinaは、シリコンバレーのSequoiaが2005年に設立したVCで、24億ドルと40億元を運用しているとの情報があります。ドローン企業のパイオニア、DJIもSequoiaから出資を受けているのですが、HP情報ではどうもこのSequoia Chinaからの出資のようです。ここにはランクインしていませんが、別サイトのランキングですと、日系のソフトバンクキャピタル中国が上位に入っていました。最終的にはいくつかのデータソースからアプローチするのが良さそうですね。

中国の主要VC・PEリスト(清科集団発表, 2016年データ)
ベンチャーキャピタル

(VC)

プライベート・エクイティ

(PE)

「早期投資」
(エンジェル投資)
1 IDG資本(IDG Capital) 鼎晖投资基金管理公司 北京真格天成投资管理有限公司
2 紅杉資本中国基金(Sequoia China) 平安资本有限责任公司 北京创新工场投资中心(有限合伙)
3 深圳市创新投资集团有限公司(Shenzhen Capital) 昆吾九鼎投资管理有限公司 上海阿米巴投资管理有限公司
4 江苏毅达股权投资基金管理有限公司 中国光大控股投资管理有限公司 险峰长青
5 德同资本管理有限公司 腾讯投资(Tencent Capital) 英诺融科(北京)投资管理有限公司
6 达晨创投 建银国际 北京联想之星创业投资有限公司
7 深圳市东方富海投资管理股份有限公司 硅谷天堂资产管理集团股份有限公司 九合摩宝投资管理(北京)有限公司
8 深圳市基石资产管理有限公司 复星资本 深圳市德迅投资有限公司
9 苏州元禾控股股份有限公司 弘毅投资 隆领投资股份有限公司
10 君联资本管理股份有限公司 高瓴资本管理有限公司 宁波梅花天使投资管理有限公司
出所:清科集団「私募通」HP(http://www.pedata.cn/top/2016/index.html)より。

投資額の推移についてはデータソースによって大きな差があるようです。清科集団のデータでは、2015年から2016年にかけては投資額はほぼ1300億元(約2兆円)規模で、微増に留まりました。過去5年間で投資額は倍増しているという事実は変わりませんが、とくに昨年の後半以降にはVCがより利益率とExitを重視するようになったとされ、現地メディアでは「ベンチャーにとって冬の時代だ」という声も報道されています。これだけ金額的に伸びていればいくらなんでも「冬」は言い過ぎのような気もしますが、オペレーションで資金を取り崩していくベンチャーにとっては新規資金の獲得が難しくなったことの影響は大きいのかもしれません。KPMGのデータでは中国のベンチャー投資は3.5兆円で最高額を更新という報道もあるので、この辺りの差が何によって生じているかは、検討が必要そうです。

中国におけるベンチャー投資額の推移(投資額左軸、億元;投資件数右軸、件)

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出所:清科集団データ(http://free.pedata.cn/1440998436939475.html)より。

 現地報道で指摘されるもう一つの傾向は国有資金のVC/PE市場への流入です。下記のグラフは国有系「創業投資ファンド」の数を示したものですが、2015年以降に設立が急増しています。これらの政府系ファンドは直接ベンチャー企業への出資を行わず、他のVC/PEへの出資を通して間接的にベンチャー企業に資金を提供するという仕組みになっています。地方政府系VCや民間・外資ベースのVCは、典型的にはインターネット企業や製造業企業を中心に出資し、IPOや新三板企業としてExitするというパターンで新規産業を育成してきたと言えそうですが、これらの「国有系VC」の登場がどのような影響をもたらすのか、ただのバブルに終わるのか、ベンチャー企業の成長に寄与するのか、今後検討が必要です。

国有系ベンチャー投資ファンドの設立と退出件数

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出所:清科集団「私募通」HP(http://www.pedata.cn/)より。

 また、同じデータで、中国各地主要都市におけるファンド、上場企業、「新三板」企業(店頭登録銘柄)の立地も見ることができ、興味深いです。この機能は清科集団データHPからどなたでも操作できるので、気になった地域があればぜひチェックしてみてください。下記では比較的注目を集めている、北京、上海、深圳の場合です(画質が落ちてしまいすいません…)。

北京市の場合、真ん中の空白部分が故宮博物院と天安門広場で、その東西に数多くのファンドが立地しています。これに対して、紺色の「新三版」企業は主に北西の大学街の周辺、いわゆる中関村地区に数が多く、このほかに南西の「本部基地」団地の辺りにも多くの企業が集中していることがわかります。

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次に上海市の場合、通称「森ビル」の上海環球金融中心が建つ浦東金融街から、西へ、目抜き通りの延安東路・西路沿いに多くのファンドが立地している一方で、投資先の企業はむしろ郊外に多く、とくに漕河涇開発区の辺りにかなり集まっているようです。この近くの虹梅路には日本人学校もあり、日本人が多く住む地域だったと記憶していますが、そのすぐ近くに新興企業団地ができているようです。

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そして本ブログでもたびたび注目している深圳市の場合、東側の香港寄りの地域、福田から羅湖にかけてファンドや上場企業(赤色)が多い一方で、西側の南山区、深圳大学周辺に紺色の新三板企業が多く立地しています。実際、この南山区エリアにはドローン最大手のDJIも本社を構えるなど、ハイテク企業の一大集積地となっています。こうしてデータで確認するとなんとなくわかっていたことが確認できたり、知らない集積エリアが発見できたりと、大変興味深いですね。

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実際に深圳の場合、東の福田エリアには金融街があるのですが、この辺りには下のような「金融投資カフェ」があったりします。普通にスタバよりちょっと安いくらいの金額でコーヒーが飲め、食事もしっかりでるのですが、店内にはピッチスペースがあり、また会議室もあります。平日の午後に行ったのですが、普通に会議室ではベンチャーキャピタリストが集まって投資案件を議論していました。

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深圳でも最も急ピッチで開発が進んでいるエリアの一つが深圳湾エリアで、写真はTencentの新社屋です。数千名が入るようです。この周辺にも多くの投資カフェ、メイカーカフェが並んでおり、その一つ、京東(JD)が運営するインキュベーションカフェに行ったときは、そこで事業構想の講評会が開催されていました。社内の会議のようでしたが、セミオープンのような感じでやっていて、驚きました。
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結局は最後はVC/PEを含めて、いいアイデア、いいプロトタイプ、やる気のある企業家に融資・出資し、アドバイスし、育てていく「エコシステム」があるだろう、それが大事なのだろうと改めて感じます。中国のベンチャー投資については、まだまだ不明なことが多いので、徐々に調べていこうと思っています。

ワークショップ『ドローン×アジア』開催, 2016年11月26日, アジアで, 日本でドローンは普及する, それもバリエーション豊かに。スピード感をもってリスクテイクできればチャンスはある。

ワークショップ『ドローン×アジア』が昨日、無事開催できました。

おかげ様で大変刺激的なワークショップを開催することができ、詳細についてはドローン関連のメディアに掲載されるかもしれません。

それぞれの報告では、若手企業家・若者が動かす中国ドローン産業(伊藤)、アジアでのドローン普及のバラエティ(川ノ上さん)、日本におけるホビー用ドローンへの規制の厳しさ(小寺さん)、一方で航空法改正によってむしろ産業用ドローンへの参入が増えたという指摘(熊田さん)、それでもスピード感とリスクテイキングが足りない、戦術では戦略を取り戻せないというメッセージ(徳重さん)、日本ならではの強みとアジアへの展開の可能性(阿部さん)、などなどたくさんの面白い論点がでてきました。

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完璧な紅葉日和でした

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DSC_0129.JPGはじめに私から主旨説明。世界同時立ち上げ産業としてのドローン産業の特徴、そして中国という新興国からパイオニアDJI社が登場したことを簡単に確認しました。

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「ドローンの都・深圳はいかに形成されたのか?」(伊藤)。中国深圳がドローン産業の中心地となっていることについて、サプライチェーン、研究開発、企業家とエコシステム、スピードとアジャイル感満載のメンタリティの四点を指摘しました。この写真で上がっているスライドは深圳市の人口ピラミッドで、生産年齢人口が80%を超えていますし、20代ばかりです。

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自分のスライドなので貼ってしまいますが、いわゆる「イケてる1980年代以降生まれの企業家」は、沢山いると思っています。企業規模の観点からみるとDJIは例外かもしれませんが、企業家としてのワンさん(DJIの創業者)が例外ではないと考えています。

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前半二人目の報告。「アジアにおけるドローンの普及をどうみるか? 」(智聯國際開發股份有限公司 川ノ上和文さん)。ドローンの普及を考えていくうえで、特に各地域の課題の違いに注目して、中国の農村部でのドローン物流の進展、EコマースプラットフォームJD(京東)による物流網整備の動き、さらに離島での移動やモンゴルでも家畜のトラッキングの話などが紹介されました。アジアにおけるドローン普及のバラエティの幅広さが伝わってきました。

 

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「加速するアジアのドローンレース」 (一般社団法人日本ドローンレース協会(JDRA) 小寺悠さん)。ドローンレースを主催している小寺さんによる報告では、韓国やハワイでのレースを紹介しつつ、日本国内でのドローンと無線への規制によって、FPVドローンレースの国際大会の開催が難しい状況が報告されました。この点は最後のパネルディスカッションでも取り上げられてた点で、今後日本でドローンユーザーを広げていくうえでの課題として共有できました。

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「日本ドローンビジネスの可能性」 (ブルーイノベーション株式会社 熊田貴之さん)。ドローンの市場予測はいくつも出ているのですが、それをどのように読めばいいのか、その予測の背景に何が想定されているのか、が解説されて大変勉強になりました。倉庫需要が伸びると想定する場合には、非GPS環境でのコントロールの問題がそれまでに解消されているという予測になる、等です。また2015年12月の航空法の改正によって、産業用ドローン市場には新規参入が相次いだ点が指摘されました。

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「日本企業はいかにアジアを開拓/活用するか?」 (テラドローン株式会社 徳重徹さん)。ドローン市場を考えるときはグローバルに考えなければ意味がない、またその際にはとにかくスピードが重要になって来ているというご指摘、会場でもかなり反響があったと思います。また日本の大企業がスピードとリスクテイキングをできれば、これほど強いところはないだろうという指摘もありました。来年1月には海外への子会社の設立もリリースされるようで、「テラスピード」での成長が実現しつつあり、人材を募集しているとのことでした。

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「ドローンのグローバル市場におけるアジアの優位性とは」 (株式会社CLUE 阿部亮介さん)。測量やインフラ点検、そしてクラウドサービスを展開している阿部さんから、さらに今後アジアでどのような可能性がありえるかご報告いただきました。アジアでは日本、中国、シンガポール以外ではまだまだソリューションの展開事例が限られており、ここに可能性があるだろうという指摘はとても刺激的でした。

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パネルディスカッションの様子。パネルディスカッションでは日本の強みと弱み、そして目下、発展のボトルネックになっているドローン人材をどう確保していくか、という二点を議論しました。人材に関しては徳重さんはITをやっているような人が来るのが良いのかもしれない、と指摘し、また阿部さんからはドローン自体の知識や操作については入社後にトレーニングも可能なので、それ以外の部分がより重要だとのコメントをいただきました。フロアからもホビー用への規制をどうすればいいか、そしてドローン業界で求められるスピードを確保するにはどのような工夫が必要か、という質問がでました。

全体を通して、やはり徳重さんが言った「スピードとリスクテイキング、そしてバイタリティがあれば、負けるわけない」というメッセージが重かったですね。また小寺さんが指摘したように、ホビー用のドローンでは、特にFPVへの規制が厳しく国際大会の開催が難しいという点は、ドローンを幅広い層に浸透させていく上で、大きな課題となっていると知りました。

これからもこうしたワークショップを開催していきたいと思っています。ご登壇・ご参加いただいた方々、誠にありがとうございました!また末筆になりましたが、当日お手伝いいただいた、徐龍輔さま(受付、カメラ)、高須正和さま(撮影)、藤川理恵さま(受付)、誠にありがとうございました、おかげ様でなんとか開催できました。

話題のドローンから見えてくる「新世代中国企業家群」の存在。DJIのフランク・ワンだけではないし、「彼ら」はドローン業界だけにいるのでもない。

お台場にできたドローンスクール、Drone Collegeでお話しさせていただく機会がありました。初めてドローンに触れる方に、マニアックな中国の話をしたので、会場の反応がどうだったのか、正直自信はありませんでした。いずれにしても、ドローン関係で幅広い繋がりを有する名倉さんと色々と議論できたのは私にとってもたいへん有意義でした。

レクチャーで私が強調したのは、DJI以外にも、中国から面白いドローンがバンバン開発されてきている、ドローンの形も用途もこれから広がっていく、ということです。ご紹介したのはコンシューマー向けのドローンの例で、3つあります。一つ目がPowerVision社のPowerEgg、二つ目がHoover Camera、そして三つ目がMakeblock社のAirblockです。

それぞれの機体については、すでに日本語でも紹介記事がでています。北京のPowervision Robot社のPowerEggについては、例えば、Drone.jpの「Powervision 社発。 空飛ぶタマゴ・ドローン登場!」があります。9月の展示会、Inter Droneでも展示されていたようで、2,100gで飛行時間が23分、価格は1,288ドル。飛行の安定性については現時点ではなんとも言えない段階ではありますが、とにかくそのデザインの発想が面白いドローンです。

二つ目は、Hover Cameraです。この会社はスタンフォード大学を出た中国人が北京で創業した会社で、ドローン全体をカゴで覆うことで、安全性を高めており、4Kカメラでの自撮り・レジャー用として、かつてない手軽さを提供するドローンです。実際、小型のドローンであっても、飛行中のプロペラが手に直接触れると切り傷がつくため、危険性がやはりあるのですが、このHover Cameraが提供する、手で持てるという気軽さはコンシューマー向けとして画期的なものです。

そして三つ目が、深圳に本社を置く、Makeblock社のAirblockです。教育用ロボット市場で一躍有名になって企業で、これまではプログラミング可能な自動車ロボットMbotがその中心的な製品でしたが、ついにドローンに参入しました。ここでも組み立てが可能で、プログラムを体験できるという点が特徴的です。

 

おそらくYoutubeで、これらの製品を見て、中国企業だと感じる人は少ないのではないでしょうか。これら3社とも新世代の中国人企業家が創業した企業で、その製品の革新性、ファッショナブルなセンス、マーケティングの手法からみて、過去の「中国企業」のイメージを大きく塗りかえるものです。無論、ドローン市場の雄、DJIもこうしたセンスを発揮していますが、ここで重要な点は、こうした企業がDJIだけではない、ということです。さらに言えば、ドローンだけではないのです。

 

現代中国学会の報告でも指摘したのですが、大まかに言うと、これらの企業の創業者は、1980年代生まれで、最高峰の理系大学を卒業し、その後にドローンやロボティクス産業に参入したという経歴です。2000年代の半ばから後半以降に創業した企業群ということになります。彼らにはいくつか特徴があるのですが、重要な点は、彼らが①最新技術を理解するエンジニアであること、②新世代のグローバルなニーズとセンスを持っていること、そして③ハードウェアを製造するうえでのサプライチェーンや投融資のエコシステムを活用できる環境にいた、という点です。欧米、そして日本の優秀な理系大学を卒業した人にも、①と②は同等以上にあったでしょう。しかしハードウェアを実現するうえで不可欠な③の環境が、欠けていたのではないか、現時点で私はそう考えています。これら3つの条件を満たす世代が、2000年代後半の中国に登場した。そしてそのタイミングはまさに中国経済が構造転換を必要としていた時期でもあったのです。

中国経済の行く末については、企業や地方政府の債務問題や、不動産価格の異常な高騰、そして2020年代に加速する高齢化など、多くの課題があります。こうした問題に対応するうえでも、経済の生長点ともいえる新世代企業家が、どのくらいのビジネスを作り出すことができるのか、この点がたいへん重要な論点だと考えています。