「新興国×テック」の時代はあり得るか?③~番外編:エチオピア・アディスアベバで見たチャイナな写真集

番外編として「エチオピアでみたチャイナな場面」を独断と偏見でランキング形式でご紹介します。なお、新興国でのテック/スタートアップの可能性を考えた、現地での視察のノートは前回前々回のブログを、新興国と中国の関係深化という意義での中国政府による「一帯一路」構想についての筆者の考えについては、例えばこちらを参照ください。

以下では2018年8月8日から12日にエチオピアの首都アディスアベバで滞在中に見かけた中国要素を抜き書きしてみる。こうしてみるとチャイナばかりに見えるが、当然、チャイナなところだけを抜き出しているので、街中は現地語であるアムハラ語表記や英語表記が多いことは十分に割り引いて見てください。

この手の記事は上野きよりさんの「 中国が旗を振る「エチオピア開発」の光と影」(東洋経済Online)がすでにあります。少なくとも私よりは高口康太さん山谷剛史さん辺りがもっとずっとずっと上手だと思われ、いつか氏らの手による「アフリカ×チャイナ」記事が来ることを心より祈って、ひとまずアップ。

第五位 ジャージ・シャツ

個人的には、一枚目が今回のベストショット。アフリカ最大のマーケットで目撃した荷物運びのおじさんで、写真撮ろうとすると一回断られるも、「いや、このジャージに「中国」って書いてあって、すごいからお願い」と頼んだらポーズまで取ってくれた。「国」の字が見えていないのが残念…。ほかにも時々中国語が書かれたジャージを見た。多分中国企業が、ばんばん配っているのだろう。

「中国」ジャージおじさん

このほかにも、中華街のレストラン前で美容院のシャツを着てた少年や、街中でも見かけました。

第四位 Tecno

街中でたくさん見るスマホショップTecno。何を隠そう、中国の深圳企業で、アフリカで有数のスマホ販売台数を誇る。多分中国企業だと知らない人が多いと思う。DJIと同じ2006年深圳創業で、連結の従業員数1万人程度というのも同じ、さらに機種でPhantomとかSparkとか、DJIと同名のシリーズがあって傑作。一方のDJIは欧米、そして日本でも超有名な企業となっており、そしてもう一方のTecnoは先進国ではまったくの無名。友達に「Phantom8、カメラいいよね~」と言ったら、絶対「ええ?Phantomは4まででしょ?(DJIのドローンだと思っている)」と返されること間違いなし。なかにはなんとMade in Ethiopiaのタブレット端末もあり、今後さらに研究したい企業。スマホには出会い系アプリPalmchatがインストールされ、深圳の企業がスマホを売るだけでなく、アフリカ人同士の出会いまでサポートしている事実を伝えてくれる。本社はDJI本社のすぐ近く。この辺りに深圳市南山区の奥深さがある。

噂には聞いていたフラッグシップモデル Tecno Phantom 8


MediaTekが入っている。

マンチェスターシティのオフィシャルスポンサーでもあり、Youtubeなどには関連動画もある。

出会い系アプリが標準装備。

Spark

街中でも小さいTecnoショップは結構ありました。中国系だとHUAWEI、ZTE、そのほかはやはりSamsungが一大勢力でした。

三位 アミューズメントのなかのチャイナ

アディスアベバで観光レストランYod アビシニアレストランでは民族音楽を聴けるわけですが、エチオピア人シンガーが「次の曲はチャイナの曲です」とアナウンスして、歌い始め、さらに中国人観光客とデュエット。体験として強烈だった(動画もあるので、ネット環境あるとこに戻ったらアップを試みる)。このほかにも現地テレビを見ていたら、中国の娯楽番組の一部が流れたりして、こんなに遠い国なはずなのに、メディアでも親近感がわくような取り上げ方をしているなと思った。

現地TVを見ていたら突然「ギネス中国の夜」の組体操が紹介される

ヨド・アビシニアレストランのショー。中国語で歌い始め、中国人以外は「ポカーン」となるものの、前列で立っている人とデュエット。入り口では「ニーハオ」と言われ、お水を桶にいれて持ってきてくれたウェイターさんは「洗手xishou」と親切に教えてくれた。

街を歩いていて「チャイナ~」とか子供から声かけられることもあり、生活の中に中国人がいることが一般化し始めているのかも。

第二位 建設中あるいは建設済み物件

ともかく多い中国企業による建設プロジェクト。空港の新ターミナルから始まって、金融街のビル、アフリカ連合となりの「」ビルなどなど。その割には街中ではそれほど中国人は見なかったが、街を歩いていても、観光レストランに行っても「ニーハオ」とか「チャイナ」と声を掛けられた。

ボレ国際空港

空港の新ターミナル

スタジアム

アフリカ連合のビル

およびその隣の「中国アフリカ援助本部」、建設中。

建設中の金融街の一角。

ライトレール、うっかりしっかりした写真を撮り損ねる。同行した田中さんがいい写真をとっていた。

Yosuke Tanakaさん(Accel Seed)撮影のライトレール(写真のご提供ありがとうございます)

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同上。朝は大変な混雑でアディスアベバ市内の足、といった雰囲気。

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中国関係の建設プロジェクトに関しては、素直に多いと思う。郊外や、地方都市はちがうかもしれない。

第一位 工場(Huajian)

問答無用のスケール。4700人の現地人雇用を生み出し、エチオピアにとって貴重な外貨ドルを稼ぐ、空港のようなスケールの工場。金型の削り方を教え、整理整頓された生産ラインが広がり、簡易宿舎も完備。スローガンもインパクトがあり、今回見た中では他を圧倒した印象を残した。別途また何か書くかもしれない。

でかい、あまりにでかいメインの生産ライン。半分くらいは稼働していて、今後キャパ的には拡張にいつでも対応できそう。

さらなる拡張のために建設中の建屋。先がかすんでいる。中文雑誌で入居者を募集していた。

東方工業団地にはより中国企業が集まっているらしく、そこも訪問できれば面白いだろう。

番外編

普通にビルに入ったら「消火栓」。そう、ここまで中国は輸出している。

現地中文雑誌「东非瞭望」のエチオピア版。現地で活躍する中国人企業家のインタビューや、工業団地の情報、現地経済情勢や文化・宗教などの情報を紹介。内容としてはそれほど深い独自記事があるわけではなく、独自のインタビュー記事のほかはおもに中国メディアの関連情報や、国際機関のレポートの翻訳など。ただ企業リストなども載っていて有用。

この方のインタビューは面白くて、温州の陶器タイルメーカーがエチオピアにきて2年で現地最大規模のタイルメーカーになったとのこと。さすが温州人。

中華料理店。

想像できる通り、店主の個人アリペイやウィーチャットペイに直接人民元で支払いできてしまう。

中華食材店。アリペイで買えた。

中華料理店では中国でよく見るスローガンが張ってあり、アフリカにきた戦士たちを鼓舞する。

番外編の番外編:ドバイ国際空港でHuawei P20 Proの広告を大量に見る。

番外編の番外編:ドバイ国際空港で世界最大の雑貨市場・義烏の広告を見る。

後記

ジャパン的なものも一応探したが、限られていたか、実質日本と無関係のものもあった。

以上

※関連中国メディア報道

https://www.sohu.com/a/221596859_100023013

http://www.sasac.gov.cn/n103/n86114/n326638/c2178785/content.html

http://news.hbtv.com.cn/p/643419.html

※「新興国×チャイナ」という現象としての中国政府による「一帯一路」構想に対する筆者の考えは以下のものに書いています。

クリックしてito_obor_2015.pdfにアクセス

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO18998440Z10C17A7KE8000/

http://bunshun.jp/articles/-/5608