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深圳在外研究メモ No.51 ニコ技深圳観察会第8回に参加~オープンイベントもやりながら深圳の土壌にもぐる三日間

昨年4月に続いて、ニコ技深圳観察会に参加しました。「現地集合、現地解散、実費のみ割り勘、自己責任」の大人の社会科見学、というかエンジニアのための深圳観察ツアーです。在外研究も最終盤ではあったのですが、改めて沢山の発見がありました。

 

1)第8回観察会の概況

第八回の参加者自己紹介などは第8回ニコ技深セン観察会 参加者名簿:感想まとめ

最後の高須さんのプレゼン僕たちが起こせるマジック #ニコニコ技術部 深圳観察会 ラップアップセッション

すでにTakahashi Susumuさんのニコ技深圳観察会第8回(Day:1–1)などがあり、個別の訪問についてはそちらがくわしいです。

 

※加筆

観察会ミートアップで伊藤が報告した資料(一部ちょっと修正してあります)はこちらにアップロードしてあります。

 

2)HuaweiにもDJIにも行かない、でも深圳の土壌がわかる

この深圳観察会は通常の深圳ツアーでは必ず行きそうな会社にはむしろ行きません。HuaweiのSmartcity展示室やDJIの展示室などにいってもそれなりに勉強になるのですが、PRの人が出てきて、公式ホームページやプレスリリースになっている情報を教えてくれる、というような感じになるので、ディープな対話は生まれにくいのは事実です。

観察会はローカル企業、規模でいえば100人くらいまでのところに行き、そのオフィスのなかで、創業者や海外マーケティング担当しているひと、そしてなによりも開発しているエンジニアから話を聞きます。ツアーメンバーにエンジニアが多いため、360度カメラのKandaoを訪問した際には「6つのレンズそれぞれに、レンズの周辺になればなるほど歪みがあると思うけど、それってどう対応しているの?」といったディープな議論が展開されます。

あともう一つは、参加者も訪問先企業の製品が好きだったり、強く興味をもって来ているので、その場で製品をがんがん買うことです。Insta360に行ったときはInsta360 Oneを11台購入して、その場で全員分をモバイル決済で払っていました(義烏でビジネスをしている和田さんは当然高額の決済がその場でできるし、Shao氏は日本国内での決済アプリの開発者)。それ以外にもCityeasyというロボット会社ではロボット2台を購入していました。スタートアップは来年にはつぶれているかもしれない会社なので、その場で買うこと、しかも熱狂して興味を持って買ってもらうことは彼らにとっても嬉しいことでしょう。

HuaweiもDJIも、それぞれ深圳を代表する会社です。しかしこの観察会はこういった企業が生まれてくる土壌のようなところ、かっこいい部分だけでなく、いまはこのレベルというようなところも含めて、エコシステムの土の中を掘り返していきます。参加者には深圳に関わっていきたいと考えているひとが多いので、このアプローチは有効だと思います。

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沙井のモーター・工具系マーケット訪問時の高須さん(ここも絶対普通のツアーは行かない)。右手にINSTA360 One(全天球を撮影し、あとで自由に切り出して編集可能)、左手にブルートゥースマイク(電機街華強北で売ってる)、ネコミミ装備という現時点でのフルスペック状態の高須さん。高須さんはプレゼンも一言目から言い切る濃いメッセージを出せる人なのですが、歩きながらや立ち話での解説も同じく面白かったです。工場を見ていて、ラインだけでなくそこに掲げてあるスローガンに注目してみたり、ならではの高須センサーに反応した発見が解説されます。

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JENESISを訪問し、工場飯をご馳走になり、そして解説いただく。この場面は、モジュール化されたサプライチェーンのなかでも、いかに作り方の選択肢がたくさんあるか、差別化する余地があるのか、という話。2つの電池があり、見かけ上は同じスペックでも価格が3割違い、品質も異なるという事例で、どちらもタブレット端末に使える。コストダウンに走れば、それだけの品質になるので、たとえ「レシピ」があったとしても、その組み合わせ方は実は奥が深い。

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今回訪問したなかの隠れMVP企業、Cityeasy。ロボホンぽいものを作っているだけと思いきや、もともとGPSモジュールを作っている社長さんが、常に新製品を開発しています。行くたびに発見がある会社の一つ。

 

3)やっぱり深圳のハードウェアスタートアップは加速している

ちょうどいま日経新聞の「やさしい経済学」で「加速する中国のイノベーション」という連載をしています。そこでは、中国のイノベーションをサプライチェーン型、デジタルプラットフォーム型、社会実装型、科学技術型に分類して、ざっくりと解説しています。その分類でいくと、深圳でとくにみられるのはサプライチェーンを活用したハードウェアのイノベーションです。

今回ハードウェアスタートアップとしてはInsta360やKandao、そしてあまり有名ではないですが、Cityeasyというコンシューマー向けロボットを作っている会社に行きました(HAX訪問には私は別件で合流できなかった)。

Insta360は新製品Oneのファームウェアアップデートを、Kandaoはまったく新しい3D360度カメラ(小型)を、そしてCityeasyは子供用ウェアラブルをかわしいスマートスピーカー風にセットにした製品を作っていました。私はどの会社も以前に訪問したり話を聞いていたわけですが、いずれの話も3か月前にはなかった話で、四半期ごとに行くたびに、なにか発見があるのが深圳、ということを再確認にしました。

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Cityeasyの知能卵。LEDがあり、スマートスピーカー風だけど、開けると・・・

 

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こうなっている。ウェアラブルに、対話機能がついていて、なるほど考えてみれば、これで「スマートスピーカーとウェアラブルが合体」できている。言われてみれば簡単ですが、これを思いつくか、というと難しい。顔が横になってしまっていますが、ジャイロをつかってちゃんと前を向くように最初になっていました。まだまだ調整中みたいだけど、3月末(もうすぐ)には出荷できるとのことでした。

 

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Kandaoの社長さん、陳丹さん。復旦大学を卒業した量子物理学の専門家が、次世代360度カメラを開発していました。まさに研究者という雰囲気の方でしたが、オフィスには100人くらいのエンジニアがぎっちり入っていました。

 

4)2回のオープン・ミートアップでコミュニケーションが爆発する

もう一つ今回の観察会の特徴だったのは、二つのオープンイベントを開催し、そこで異なるバックグラウンドの人達で、情報交換し、議論しまくることです。

深圳観察会のOBや、その他のスケジュールで深圳に来ているひと、深圳でビジネスしている人が自由に合流するイベントです。なので全員が基本は自腹・自力で来ている人達なので、濃いイベントになっていました。一つ目は深圳南山区に残り城中村・白石洲のクラフトビール屋さんの前で開催されたミートアップ(Big Maker Meetup, 白石州, Shenzhen, PECO and Bionic Beer)、そしてもう一つが電気街SEGMAKERで開催されたミートアップ(Open Day/Meetup 2nd ニコ技深セン観察会 Seg+出張所)です。

白石洲のイベントの方には、おそらく60人くらいは来ていました。なによりも深圳側からSeeed StudioのEric、山寨王ロビン、Jenesis藤岡さん、SwieのZhai始め、かなり濃いメンバーが来てくれて、イベント多い深圳と言えども、このメンバーが集まるのはニコ技観察会ミートアップだけなのでは、と思いました。

もう一つは最終日のワークショップで、参加者の感想をシェアリングしたうえで、伊藤が中国のイノベーションの話、Shao氏(シリアルアントレプレナー)がインターネットビジネスの話、そして高須さんがメイカーズと自分たちでできるムーブメントについて話しました。この様子は「僕たちが起こせるマジック #ニコニコ技術部 深圳観察会 ラップアップセッション」にアップロードされています。

とくに高須さんのプレゼンは、一言目から「20世紀は組織が先にあって~」という話から始まる最高にクールなもので、後半は「面白いと思って裸で踊っていたらみんな一緒に遊んでくれるようになった」というような話。ムーブメントを自分で起こして、その一部になりながら成長していくというあたりは業界を問わず大事になると思いました。ぜひ動画を見ていただくのをおススメします。

このワークショップでのプレゼンは、三人が登壇しました。全員が深圳を面白がっているものの、それぞれ異なるバックグラウンドから全く違う話をしたあたりは、唯一無二なワークショップになりましたし、これこそ異なる視点から同じ対象を議論する価値を示していました。

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