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深圳在外研究メモ No.55 日本へ帰国編~在外研究は終了、ついでに『現代アジア経済論』(有斐閣)を宣伝

日本に帰国しました。1年間の在外研究で、できたことできなかったこと、諸々あります。ですが、ベンチャー企業を立ち上げ、新しい製品を開発する人たちに囲まれての生活をできたことは、今後の研究にきっとつながりますし多くのインスピレーションをもらえました。4月からは再び東京大学社会科学研究所にて勤務いたします。現地で得られた知見を今後様々な形で教育研究に生かして行きます。現地でお世話になった多くの方々に、心から感謝しています。

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深圳大学のキャンパス内の池。青空、緑、そして周りにはハイテクという環境でした。

 

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蛇口・海上世界の様子(ブログヘッダー写真を変えるので、記念にここに残しておきます)。

ついでに宣伝。有斐閣から『現代アジア経済論 — 「アジアの世紀」を学ぶ 』(遠藤 環 , 伊藤亜聖, 大泉啓一郎, 後藤健太編著)が刊行されました。アジア経済の過去を回顧しながらも、とくに2000年代以降の変化をなるべく大胆に整理しよう、という狙いの下に編集しました。人口構造や都市化など、中国のみならず、アジア各国が直面する共通の変化も多く、そうした変化を横断的に見ています。ぜひ手に取ってみてください。

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深圳周りの話でまだ書けていないこともあるので、つづく…。

 

深圳在外研究メモ No.54 前海自由貿易区開発エリアを歩く編~不動産開発が進展、ビル群は年内には一部稼働へ?

深圳市にて建設が進む自由貿易区・前海。深圳市博物館に行っても、最後は習近平さんが前海を視察した場面が強調されており、疑いなく深圳市の重点プロジェクトです。

いまだ建設中であるため、その全容を評価するには時期尚早ですが、建設は急ピッチで進んでいます。あまり日本語で調べても建設中の様子の写真がなかったので、ここに載せておきます。

 

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前海・自由貿易区を示す看板。

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スローガンがとても目立つところに掲示されています。深圳市内ではなかなか見ないレベルの赤い大きな看板です。

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展示センター近くの看板。

 

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深圳市南山区と宝安区の境にある前海湾。そのエリアに巨大な金融街の建設が進んでいます。このエリアが前海のコアとなると目されるビル群です。

 

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現在急ピッチで建設が進んでいます。

 

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目抜き通りの名前はその名も「夢海大道」。

 

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大規模不動産プロジェクト、「卓越前海壹号」のモデル。

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すでにほぼ完成しており、奥のビル(つながっている)が超高級レジデンス。真ん中のビルの上にかごのようなものがあり、どうもここがレジャー的な共有スペースになっている様子で、ここでそのうち億万長者たちの宴会が開催されそうです。

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販売されている物件のうちで、広いタイプの部屋は533平米。5つの部屋、2つのリビング、4つのトイレ。ネット情報では「前海壹号」は一平米11万元(187万円)なので、単純計算すると9億9671万円(5863万元)の物件。この物件か確かではありませんが、噂では最高で平米25万元、つまり1億元超(17億円超)の値段が付いたという話があります。

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深圳市の発展が、東側から西に進んできたという図。わかりやすい図ではあるものの、1980年代から羅湖と同時に、西の蛇口の開発も始まったため、あくまでも2000年代以降の変化を表しているといえそうです。

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指標が明確ではありませんが、おそらくGDPで、現状では圧倒的に金融業の比重が高くなっており、前海エリアはこの方向性に進みそうです。

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前海エリアの図1。

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前海エリアの図2。前海金融センター、中糧集団(COFCO)やテンセント前海ビルなどがありますが、面積でみると「前海時代プロジェクト」が目立ちます。この他に華強集団、華潤集団といったコングロマリット系不動産業者の名前が並びます。

 

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前海を2012年12月7日に視察した習近平さんの演説が展示されていました。

 

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この他にも中央政府および香港側の重要人物の発言がならび、重点プロジェクトであることが強調されています。

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自由貿易区の看板近くのオフィスエリア。このあたりはビルはなく、低層のオフィスがならびます。

 

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香港と深圳の共同プロジェクトである「前海深港青年夢工場」の関連企業。

 

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「夢工場」内には投資機関やベンチャー企業が入居しています。ただ、南山のソフトウェア産業基地に比べるとまだまだその活気は感じられませんでした。

 

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「夢工場」のオフィスエリア。

 

参考資料:

http://www.shenzhenoffice.jp/only/show-57.aspx

深圳在外研究メモ No.53 番外編~雑貨の街・義烏で「アフリカ工業化」を聞き、「インダストリー4.0」を見る

1月に深圳でよくご一緒している高須さん、そしてハードウェアスタートアップ・FutuRocketの創業者である美谷さん、そして元ジョッキーでジムトレーナーのKajiteruさんと浙江省の義烏市を訪問しました。

義烏市には世界最大の雑貨卸売市場があり、その発展パターンは拙著『現代中国の産業集積』でも取り上げています。2000年代から「雑貨市場なんて衰退する」と言われ続けてきましたが、いまだに存在し続けている理由は、圧倒的な品ぞろえと中間財の集中にある、というのが拙著での結論でした。以下は、久しぶりの訪問のメモです。

 

1)相変わらず元気な区画とそうでない区画が分かれている

中間財の集中によって、とくにアクセサリーの分野では流行に乗った製品開発と輸出ができるため、義烏市場ではこの分野が最も活気に溢れています。それに対して、デザインが変わらず、また流行性の低い工具類といった製品は、一度マーケットを訪問すればそれ以降は必ずしもマーケットにくる必要性はなく、また工場直販になっていくため、総じて閑散としています。これは今回でも変わっていませんでした。

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2018年の春節に向けて装飾されるメインの「義烏国際商貿城1区」の入り口。

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手前がマーケットで、奥は前回訪問時には建設中だったオフィス・金融街。

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春節グッズ、とくに戌年であるので、犬のぬいぐるみが前面に置かれています。これがまさに流行に対応した製品で、次来た時には当然商品は入れ替わっています。

 

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もう一つ賑やかな場所がおもちゃ売り場。お土産で買っていく人も少なくないようで、単品から対応している店もこのエリアにはあります。広東省スワトウエリアで製造された玩具レベルのドローンが飛び回ります。

 

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4区、5区といった奥のエリアは閑散としていて、活気はありません。これも結構昔からの話。

 

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相変わらず外国人バイヤーが市場内を歩き回っており、広告も目につきました。

 

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前回訪問時にはなかった、「スマートグッズ売り場」。DJIのドローンや、深圳製と思われるようなロボットが並び、正直義烏のニーズに合うのか不明でしたが、人はそこそこいました。

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在外研究メモNo.51でも言及したCityeasyのロボットだと思われるものもなぜか並んでいました・・・。

 

2)ゴールドバッハの和田さんから日本市場向けビジネスの最前線を聞く

買い付け事務所を経営されている和田さんにお話を伺いました。想像以上に大きな倉庫兼検品事務所を運営しておられ、なおかつ可能な限り小ロットの買い付け代行にも対応しているシステムにも驚きました。和田さんは義烏市のEコマースプラットフォーム、Yiwugouの日本館の運営もしています。

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倉庫兼検品事務所。この建物やほかの場所にもシェアオフィス風の区画もあり、パートナー企業用の机やオフィスも用意しており、日本企業が義烏を活用するためのプラットフォームにもなっていました。和田さんは復旦大学卒業のがちがちの中国通で、すでに18年間中国でビジネスに携わっておられるという方です。

 

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オフィスでは日本からの注文の確認作業が進んでいました。

 

3)義烏アフリカ人商会・会長のスラさんから「アフリカ工業化」を聞く

義烏訪問のなかでもかなり衝撃的だったのはスラさんの話でした。

スラさんはセネガル出身、2003年に初めて義烏を訪問しはじめ、2006年から徐々に義烏にいる時間が長くなり、やがて常駐するようになったそうです。最初は二人で始め、現在では37名のスタッフを抱える買い付け事務所になっています。

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聞き取りはこんな感じでスラさんのオフィスで中国茶を飲みながら進みました。このスタイル自体が中国風で、スラさんは英語と中国語で応えてくれましたが、美谷さんがフランス語で話しかけるとそれにも対応していました。

もっとも印象的だったのは、「義烏で製造を学び、そしてアフリカの工業化のために投資し始めた」という話でした。

我々は義烏で学んだ。もともと物を買って、売って、その差額を儲けるだけだった。でも中国にいて、義烏に滞在し、中国人と仲良くなり、ビジネスサイドだけでなく、生産サイドについても学ぶようになった。

昔は製品を見てるだけだった。このライターを見ても、「作れるかな」などとは考えもしなかった。しかしバイヤーをやりながら、徐々に生産している工場を見るようになった。小さな工場が、機械を使って生産しているのをみたんだ。テープの工場とかも行った。小さい工場がこうした製品を作っているんだ。

そこで例えば、プラスチックのボトルをみて、自分に問うんだ、「なぜ我々アフリカ人はこれを自分でつくれないのだろうか?」と。このプラスチックのボトルをアフリカに送るには、物流はコストがかかる。例えばこのボトルは包装すると、上にも横にもスペースが必要で、場所を取るからだ。でもこのボトルの原料は、小さな盃くらいで足りる。原料をもってきて、アフリカで、セネガルで機械で生産すればいい、と思うようになった。組み立て、いろいろなアクセサリーのパーツがここにはある。

私はここに未来があると思う。アフリカの方がコストはもっと安いはずだし、沢山のアフリカ人がそれを、小さい製造をやり始めている。

実の話、私自身も工場を始めている。プラスチック製品の工場だ。中国の友達がセネガルに4回もきてくれていて、10年来の友達がいて、かれがパートナーだ。一緒にアフリカで工場をやっている。生産を始めるときは実際にどうやるかを見せなければならない。もっと中国の産業を、セネガルに誘致して、人を雇い、生産プロセスを教えていくことをやりたい。それが私がいまやっていることだ。ただ輸出しているだけではないんだ。次のレベルはアフリカの工業化(African Industrialization)だ。

 

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義烏市からの表彰を多く受けているスラさん。「外国人をこんなに大事にする場所はほかにないだろ?」と、ビジネス上の民事訴訟の仲裁メカニズムなどを紹介しながら力説してくれました。

 

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スラさんと集合写真。スラさんはセネガルの大統領顧問でもあります。

 

4)アクセサリー工場で「インダストリー4.0」対応を見る

義烏のローカルな産業のなかで、最も競争力を持つ産業のひとつがアクセサリー業界です。今回は友人の紹介で、なかでも面白い取り組みをしているアクセサリーメーカーを二社訪問できました。そのうちの一つの工場は、型の製造に3Dプリンターを活用し、なおかつ生産管理システムを大々的に導入することで、より小ロットでの生産を短納期で実現する方向で、生産ラインを大幅に改造していました。この会社は「浙江省工業4.0リーディング企業」にも選定されている会社です。

 

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すべての作業場にはディスプレイがあり、作業指示がされています。このシステムによって、どの従業員が、何時から何時に、どの製品のどの作業をするかが指示されています。

 

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製品設計を以前よりも自社内でするようになり、同時に小ロット生産がふえたため、3D CADを用いてサンプルを作り、それをもとに型をつくるフローができていました。

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サンプルの生産のための3Dプリンター。

 

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小ロット生産であればこういったゴム型で製造。

 

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アクセサリーのアセンブルは機械化が難しく、依然として主に手作業です。

 

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試作のためのパーツ置き場。青色の石・ビーズのみでもこれだけの品種がありました。

 

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生産システムの改善により、納期が15日から7~10日に、そして生産可能品種が32モデルから55モデルに増加、必要人員数は減少、不良率減少、といった効果があったとのこと。

わずかこの2~3年の間に、いわゆる「労働集約的産業」でもスマート化が急激に進展していることを義烏で目撃しました。

 

5)旧・賓王市場がおしゃれスポットを目指して改造中

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あまりいい写真が取れませんでしたが、もともとの卸売り市場だった賓王市場が、おしゃれ創業エリアを目指して改造中でした。正直訪問時点ではあまり活気を感じませんでしたが、どうなるでしょうか。

 

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オブジェが置いてあり、周りにはカフェやバーができていました。昔はこの雰囲気の場所は義烏には存在しませんでした。

深圳在外研究メモ No.52 華僑城OCTの何香凝美術館と華美術館を訪問編~加速都市・深圳で「デジタル山水画」を見るリアリティ

深圳で一番のおしゃれスポットOCT(Oversea Chinese Town, 華僑城)。そこのアートギャラリーで働いている友人から誘われて美術館に行き、そこで中国の現代アートのクリエイティビティに触れたので、せっかくなので紹介しておきます。

スタートアップとかイノベーションとは若干異なる領域ですが、深圳はアート産業、デザイン産業といったクリエイティブ産業に力を入れていて、こうした展示会とそこに集う人を見ることでも、この街の活力を感じられました。

とくに、後半で紹介している華美術館では「デジタル山水画」とも呼べる作品群を展示しており、深圳という街自体が急激に開発される中で見ると、ある種のリアリティを感じるという、体験ができました。とりあえずメモしておきます。

 

1)何香凝(He Xiangning)美術館

何香凝は1903年に日本留学し、私立女子美術学校(現在の女子美術大学)で田中頼章のもとで絵画を習い、のちに共産党政権に合流した画家です。深圳のOCTエリアに美術館があり、彼女が残した山水画の展示と、同時に現在は1980年代以降生まれの新世代芸術家のモダンアートの展示がされています。

 

美術館入り口。江沢民が揮毫。

 

 

 

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何香凝と宋慶齢の写真。毛沢東との写真も展示されていました。

 

 

 

 

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「克強先生」とは中国同盟会会員の黄興(1874-1916)のことで、彼に宛てた作品。猛々しい作。

 

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展示されている中では最も大作であった「松・菊」。劉亜子が長文の詩を添えている。

 

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劉少奇が「祖国山河」と題をつけた作。

 

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美術館館内の別の区画は完全にモダンアートゾーン。

 

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モダンアートを背後にセルフィーをとる若者が目立ちました。

 

 

2)華美術館のReconstructing Utopia(重构乌托邦)展示

何香凝美術館のすぐ隣の「華・美術館」。そこで現在の展示がReconstructing Utopia(重构乌托邦)。都市全体を改造し続けている深圳市でユートピア展が開かれていることは、別の都市とはまた別のリアリティがありました。

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華美術館の外観。六角形は蓮の池をイメージしている感じです。

 

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1階の展示。長幅の山水画風のモダンアート。

 

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これも山水とモダニズムの融合。

 

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仏塔のデフォルメアート。

 

3)特によかった展示①~楊泳梁(YANG Yongliao)作「Prevailing Winds」

楊泳梁、1980年上海生まれの作家。

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遠くから見ると、こんな作品。山水画。

 

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近づくと、ビル群、そして都市であることに気づきます。山水と都市の融合。

 

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右奥の「山々」は実際には完全にビル群。立ち話で聞いた話では全国で映像をとってそれを結合しているそうです。どうも特に重慶をモデルにしているようです。

 

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そして滝。実はこの作品、動画です。なので、滝は流れ、車は動き、人も動いています。

 

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じっくりと鑑賞する人々。在外研究メモ No.45で紹介したタオバオ村のアートと近いものがありますが、こちらの方はディストピア感はありませんでした。

Yang Yongliang, 2012年の作品。The Day of Perpetual Night, Galerie Paris-Beijing。「数码山水图」、つまり「デジタル山水画」と呼ばれていて、なるほどという感じ

 

4)特によかった展示②~邱黯雄(QIU Anxiong)作「新山海経3」

邱黯雄、1972年四川生まれ。

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これも動画です。題して「新山海経3」。

 

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まず、電子部品基盤のアップで始まります。PCB(Printed Circuit Board)基板、と呼ばれるやつで、まさに深圳はこれを設計し、作る街。

 

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基板かと思いきや、徐々に立体化していき、人が上から落ちていきます。基板ではなく、ここは街なのです。

 

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マスクをした主人公が空から落ちてくる。基板の街へ落ちていく。

 

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途中、伝統的山水画の画面にも切り替わる。どうも「基板の街」の近くにはまだ自然があるようです。

 

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「基板の街」のコア部分。どうも上海をイメージしていると思われます。おどろおどろしい雰囲気で、ところどころ植物や動物をイメージさせるロボットがあります。

 

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主人公がマスクをつけて起きる。この場面は攻殻機動隊をオマージュしているようです。

 

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お寺でしょうか、「人生には根は無い」との言葉。

 

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実際には結構長い(10分くらい?)動画なのですが、最後は、主人公が街から飛び降りて終わります。

 

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作品を見る聴衆。

 

QIU Anxiongさんのインタビュー動画。

 

5)美術館を一歩出ると、改造中の街が広がる

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華美術館をでて、未知の向かい側ではこのビルを建設中です。

山水画と都市化の融合というテーマの作品群を見て、一歩でると、この街自体が大規模な開発の途中なのです。在外研究メモ No.45で取り上げたビエンナーレもそうでしたが、街自体が改造中であるため、芸術家・デザイナーの想像力との間に、交渉し得ないような壁がなく、現実感を与えうる場所になっています。2018年のいま深圳で見て、感じてもらう価値がある展示だと思います。

深圳在外研究メモ No.51 ニコ技深圳観察会第8回に参加~オープンイベントもやりながら深圳の土壌にもぐる三日間

昨年4月に続いて、ニコ技深圳観察会に参加しました。「現地集合、現地解散、実費のみ割り勘、自己責任」の大人の社会科見学、というかエンジニアのための深圳観察ツアーです。在外研究も最終盤ではあったのですが、改めて沢山の発見がありました。

 

1)第8回観察会の概況

第八回の参加者自己紹介などは第8回ニコ技深セン観察会 参加者名簿:感想まとめ

最後の高須さんのプレゼン僕たちが起こせるマジック #ニコニコ技術部 深圳観察会 ラップアップセッション

すでにTakahashi Susumuさんのニコ技深圳観察会第8回(Day:1–1)などがあり、個別の訪問についてはそちらがくわしいです。

 

※加筆

観察会ミートアップで伊藤が報告した資料(一部ちょっと修正してあります)はこちらにアップロードしてあります。

 

2)HuaweiにもDJIにも行かない、でも深圳の土壌がわかる

この深圳観察会は通常の深圳ツアーでは必ず行きそうな会社にはむしろ行きません。HuaweiのSmartcity展示室やDJIの展示室などにいってもそれなりに勉強になるのですが、PRの人が出てきて、公式ホームページやプレスリリースになっている情報を教えてくれる、というような感じになるので、ディープな対話は生まれにくいのは事実です。

観察会はローカル企業、規模でいえば100人くらいまでのところに行き、そのオフィスのなかで、創業者や海外マーケティング担当しているひと、そしてなによりも開発しているエンジニアから話を聞きます。ツアーメンバーにエンジニアが多いため、360度カメラのKandaoを訪問した際には「6つのレンズそれぞれに、レンズの周辺になればなるほど歪みがあると思うけど、それってどう対応しているの?」といったディープな議論が展開されます。

あともう一つは、参加者も訪問先企業の製品が好きだったり、強く興味をもって来ているので、その場で製品をがんがん買うことです。Insta360に行ったときはInsta360 Oneを11台購入して、その場で全員分をモバイル決済で払っていました(義烏でビジネスをしている和田さんは当然高額の決済がその場でできるし、Shao氏は日本国内での決済アプリの開発者)。それ以外にもCityeasyというロボット会社ではロボット2台を購入していました。スタートアップは来年にはつぶれているかもしれない会社なので、その場で買うこと、しかも熱狂して興味を持って買ってもらうことは彼らにとっても嬉しいことでしょう。

HuaweiもDJIも、それぞれ深圳を代表する会社です。しかしこの観察会はこういった企業が生まれてくる土壌のようなところ、かっこいい部分だけでなく、いまはこのレベルというようなところも含めて、エコシステムの土の中を掘り返していきます。参加者には深圳に関わっていきたいと考えているひとが多いので、このアプローチは有効だと思います。

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沙井のモーター・工具系マーケット訪問時の高須さん(ここも絶対普通のツアーは行かない)。右手にINSTA360 One(全天球を撮影し、あとで自由に切り出して編集可能)、左手にブルートゥースマイク(電機街華強北で売ってる)、ネコミミ装備という現時点でのフルスペック状態の高須さん。高須さんはプレゼンも一言目から言い切る濃いメッセージを出せる人なのですが、歩きながらや立ち話での解説も同じく面白かったです。工場を見ていて、ラインだけでなくそこに掲げてあるスローガンに注目してみたり、ならではの高須センサーに反応した発見が解説されます。

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JENESISを訪問し、工場飯をご馳走になり、そして解説いただく。この場面は、モジュール化されたサプライチェーンのなかでも、いかに作り方の選択肢がたくさんあるか、差別化する余地があるのか、という話。2つの電池があり、見かけ上は同じスペックでも価格が3割違い、品質も異なるという事例で、どちらもタブレット端末に使える。コストダウンに走れば、それだけの品質になるので、たとえ「レシピ」があったとしても、その組み合わせ方は実は奥が深い。

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今回訪問したなかの隠れMVP企業、Cityeasy。ロボホンぽいものを作っているだけと思いきや、もともとGPSモジュールを作っている社長さんが、常に新製品を開発しています。行くたびに発見がある会社の一つ。

 

3)やっぱり深圳のハードウェアスタートアップは加速している

ちょうどいま日経新聞の「やさしい経済学」で「加速する中国のイノベーション」という連載をしています。そこでは、中国のイノベーションをサプライチェーン型、デジタルプラットフォーム型、社会実装型、科学技術型に分類して、ざっくりと解説しています。その分類でいくと、深圳でとくにみられるのはサプライチェーンを活用したハードウェアのイノベーションです。

今回ハードウェアスタートアップとしてはInsta360やKandao、そしてあまり有名ではないですが、Cityeasyというコンシューマー向けロボットを作っている会社に行きました(HAX訪問には私は別件で合流できなかった)。

Insta360は新製品Oneのファームウェアアップデートを、Kandaoはまったく新しい3D360度カメラ(小型)を、そしてCityeasyは子供用ウェアラブルをかわしいスマートスピーカー風にセットにした製品を作っていました。私はどの会社も以前に訪問したり話を聞いていたわけですが、いずれの話も3か月前にはなかった話で、四半期ごとに行くたびに、なにか発見があるのが深圳、ということを再確認にしました。

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Cityeasyの知能卵。LEDがあり、スマートスピーカー風だけど、開けると・・・

 

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こうなっている。ウェアラブルに、対話機能がついていて、なるほど考えてみれば、これで「スマートスピーカーとウェアラブルが合体」できている。言われてみれば簡単ですが、これを思いつくか、というと難しい。顔が横になってしまっていますが、ジャイロをつかってちゃんと前を向くように最初になっていました。まだまだ調整中みたいだけど、3月末(もうすぐ)には出荷できるとのことでした。

 

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Kandaoの社長さん、陳丹さん。復旦大学を卒業した量子物理学の専門家が、次世代360度カメラを開発していました。まさに研究者という雰囲気の方でしたが、オフィスには100人くらいのエンジニアがぎっちり入っていました。

 

4)2回のオープン・ミートアップでコミュニケーションが爆発する

もう一つ今回の観察会の特徴だったのは、二つのオープンイベントを開催し、そこで異なるバックグラウンドの人達で、情報交換し、議論しまくることです。

深圳観察会のOBや、その他のスケジュールで深圳に来ているひと、深圳でビジネスしている人が自由に合流するイベントです。なので全員が基本は自腹・自力で来ている人達なので、濃いイベントになっていました。一つ目は深圳南山区に残り城中村・白石洲のクラフトビール屋さんの前で開催されたミートアップ(Big Maker Meetup, 白石州, Shenzhen, PECO and Bionic Beer)、そしてもう一つが電気街SEGMAKERで開催されたミートアップ(Open Day/Meetup 2nd ニコ技深セン観察会 Seg+出張所)です。

白石洲のイベントの方には、おそらく60人くらいは来ていました。なによりも深圳側からSeeed StudioのEric、山寨王ロビン、Jenesis藤岡さん、SwieのZhai始め、かなり濃いメンバーが来てくれて、イベント多い深圳と言えども、このメンバーが集まるのはニコ技観察会ミートアップだけなのでは、と思いました。

もう一つは最終日のワークショップで、参加者の感想をシェアリングしたうえで、伊藤が中国のイノベーションの話、Shao氏(シリアルアントレプレナー)がインターネットビジネスの話、そして高須さんがメイカーズと自分たちでできるムーブメントについて話しました。この様子は「僕たちが起こせるマジック #ニコニコ技術部 深圳観察会 ラップアップセッション」にアップロードされています。

とくに高須さんのプレゼンは、一言目から「20世紀は組織が先にあって~」という話から始まる最高にクールなもので、後半は「面白いと思って裸で踊っていたらみんな一緒に遊んでくれるようになった」というような話。ムーブメントを自分で起こして、その一部になりながら成長していくというあたりは業界を問わず大事になると思いました。ぜひ動画を見ていただくのをおススメします。

このワークショップでのプレゼンは、三人が登壇しました。全員が深圳を面白がっているものの、それぞれ異なるバックグラウンドから全く違う話をしたあたりは、唯一無二なワークショップになりましたし、これこそ異なる視点から同じ対象を議論する価値を示していました。

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