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深圳在外研究メモ No.46 TEDx珠江新城で大湾区(ビッグベイ)の個性的なストーリーを聞いた編 ~シャンザイ王、名創優品(メイソー)、広州富力…

2018114日、広州市のグランドハイアットホテルで開催されたTEDx珠江新城に高須正和さん(ニコ技深圳観察会/スイッチサイエンス)と一緒に参加しました。

公式サイトはこちら

テーマは「湾区製造 City Future City Now」。英語に直訳するとMade in Bay Areaになるはずです。広東省の中核地域はこれまで珠江デルタと呼ばれてきましたが、昨年来、「大湾区」という構想が胎動しています。サンフランシスコ・ベイエリア、東京ベイエリアに匹敵する経済都市、とくにイノベーション活動を内包する都市圏をつくる構想で、中央政府も同構想を認可しています。中山大学の友人から何年か前から「東京ベイエリアについて教えてほしい」という話があったので、数年前から構想があった計画のはずです。TEDxもこの政策的トレンドにそったテーマ設定をしているように見せていますが、中身は相当オリジナルな話ばかりでした

自分はTEDx初参加だったのですが、高須さんは「エンターテイメントとしてのTED」という記事も過去に書いているくらいTEDに詳しかったので、色々教えてもらいながら参加しました。

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ポスターの中でも圧倒的な存在感を放つ「中国山寨王(中国コピー王)」のロビン。

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1.会場の外にも展示~Mobike, NIO, スマートゴルフ練習場…

TEDxのイベントに参加するのは初めてだったので、比較できないのですが、まず会場の外の展示もキャラが濃かったです。Mobikeが、これまた城中村の駐車ステーションプロジェクトを、そしてEVベンチャーのNIOが実車をホテル1階に展示していました。あとはいつつぶれるかわからないけど、クラブにしか見えないスマートゴルフ練習場とかもありました。

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2.登壇者の話も面白かった、特にシャンザイ王とメイソウ

 登壇者と話の概略は次の通りでした。

1)婷(刺繍職人。広東語でプレゼン)

 広州の「戏服」という京劇(正確には広東では粤剧という)用の刺繍衣装を、1990年代生まれの登壇者が作り、それをさらに若者に広めていったという話。アニメフェスにいって、普通のコスプレをしている若者から「え~この刺繍すごーい」と言われたというあたりの話が面白かったです。1000人に見てもらったら、ひとりくらい本当に興味を持ってくれて、伝統的刺繍を学んでくれるようになったとのこと。

 

2)梁玉成(広州アフリカ村研究者、中山大学)

 広州にあるアフリカ人集住地区(小北)の研究者である梁先生。データから、白人に対して寛容なひとは、黒人に対しても寛容なこと、そして経済発展にともなって海外から移民が来るようになることを提示。そのうえで、「我々は先進国になったにも関わらず、途上国のメンタリティのままだ。ビッグベイエリアがニューヨークのような活力のある地域になるためには、移民を受け入れるようにならねばならない」、と強い言葉で訴えていたのが印象的でした。

実証研究を引用して、一人当たりGDPが2万ドルを超えると、地域から出ていく人よりも、中に入ってくる移民が増えることを紹介。広州はすでにこの段階を超えている、と指摘して、聴衆に移民がくるのは不可避だと提示。

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結論的なスライド、「先進国の特性と途上国の国民メンタリティを調整するのが急務」。

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3)(駐車場・シェアリングサービス)

 中国ではシェアリングビジネスが盛んだが、シェアサイクルも新たな自転車を大量に撒き、同時に大量の浪費ももたらしていると指摘。「本物のシェアリングサービスは既存のストック資産を有効活用することになる」、貴重な資産であるにもかかわらず十分にマッチングされていない駐車場のシェアリングプラットフォームを開発し、運用した実績を話していました。大きなビルの運営会社は、収入の増加になりえるので、データを示せば徐々に説得ができたそうです。

 特に面白かったのは、サービスを展開する上で、駐車場の入り口にいる「保安大」、ようするに保安員が、パーキングしたい自動車からリベートをもらえなくなるために抵抗した、という話でした。どう解消したかというと、自動車をこのサービスに誘導したら、QRコードで把握して、1台を誘導する度に5元をボーナスとして提供するというもの。ある保安員は一か月に8000元を稼いだそう。 

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4)彬(シャンザイ王。Meegoo PadCTO

 シャンザイ王(コピー製品王)・ロビンの登場。すでに前にこのメモで書いたことに近い内容でしたが、「シャンザイ王って呼ばれ、正直、嫌だなと思う気持ちがあった。最初は海外のメディアにいわれたんだ。でも彼らが見つけた、アイパッドのシャンジャイ(コピー製品)は、ぶっちゃけ自分が作ってきたジャンザイ製品のうちの一つに過ぎないんだよ。シャンザイは一つのスピリットだ。草の根で奮闘するということを示していて、日本だって、韓国だって、コピーして発展してきた。発展するためには必要な段階なのだ。でも単純な製造で食っていける時代は終わった。エンジニアをUberのようにマッチングするようなことも始めたし、それから海外のメイカーをサポートすることも始めている。アフリカにも行って、製造をし始めている。一帯一路という「対外投資ボーナス」があるこのタイミングで、外にでて、民族産業を発展させなければならない」という、ならではのストーリーを話していました。

 当然、会場も一番の盛り上がりになって、プレゼンが終わったときには歓声があがっていました。 

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ロビンと高須さんとの写真。Ideas worth spreadingで#中国山寨王#って、もうパワーワード過ぎて何も言えません。

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5)成金名創優品、ブランディングマネージャー)

 これがまた濃かったです。メイソウ、知る人はすでに知っている、なんというかユニクロのような店舗デザインなんだけど、ポップな日用品を開発製造している名創のブランディングマネージャーによるトーク。ロケットニュース曰く「名前がダイソーのもじりに見え、ロゴはユニクロのよう、品揃えは無印良品を彷彿」。

 プレゼンによると、すでに全世界60か国に展開し、今では売上は120億元に達しているそう…。その背景には、当然成功の要因がある。彼女が最も強調したのは、研究開発部隊が300人いて、デザインとしては「日本式+北欧式」の融合、そして製造の面では中国のサプライチェーンをダイレクトにコントロールすることでコストダウンする、と言う話でした。

設計理念は「日本式美学+北欧風」。「シンプルで、自然で、生活の本質に帰る」設計とのこと。

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うまく取れていないのですが、日本設計チーム、韓国設計チーム、北欧設計チーム、そして中国設計チームの合計300人で、1億元(17億円)を投入して設計開発しているそうです。

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曰く、「80%の企業は販売ルートのことを考えている。でも成功の要因は製品の開発にある。広告費なんて基本的にゼロだ。製品が良くて、有名なショッピングモールに入っていれば、自然に人の目に触れるし、消費者は良いものは良いものだとわかる」。 

 

スライド。60か国に進出、グローバル2600店舗、毎月80-100店舗増、2017年の売り上げ120億元(2040億円)。あとで話しかけて聞いたら、グローバルで従業員数が店舗こみで3万人、本社に3000人いるとのこと。このあたりのデータ、とくに売り上げはさすがに盛っているような気もするのですが、公式HPにも同等のデータが掲載されていますね。どうなんでしょうか…。

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設計開発にずいぶん時間をかけて作り上げたと紹介されていた水ボトル。これは買って飲んでみたい。

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コストカットの事例を紹介したスライド。それほど特別なことを言っているわけではなく、買い付け量を確保することで買い付け価格を抑え、そして中間ディーラーをカットする。他社では29元のものが、10元で提供できる。

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(ちょうどメイソウのモバイルバッテリーを持っていたので、登壇者の成ブランディングマネージャーに声をかけて連絡先を交換しました)

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6)伟聪(新材料開発者)

  すいません、たぶんすごい話だったと思うのですが、寝てしまいました。

7)LED関連材料の開発者およびサプライチェーンマネージャー)

 LEDのバリューチェーンの改善の話。  

8)王存川(外科医、肥満対策の手術を中国で一番実施)

中国の肥満患者向けの外科医によるトーク。もちろん面白かった。

9)黄盛(広州・富力サッカーチーム 、副総裁。広東語。)

  広州の有力サッカーチーム、富力の幹部。いかに人材を中で育てているか、そしてファンとのコミュニケーションを大事にしているか、を語っていました。足が不自由な子供ファンのためにバリアフリーの設備を導入した話はとてもいい話でした。

 

3.個性的で、なおかつグローカルなストーリー

正直、シャンザイ王やメイソウのブランドマネージャーのプレゼンが聞けるイベントはなかなか無いので、興奮しながら一日過ごしました。この大湾区には、それこそイノベーションならTENCENTでもHUAWEIでもいくらでも有名企業があるなかで、「あえてシャンザイ王とメイソウを選ぶ」キュレーターの嗅覚はなかなかチャレンジングだと思います。メイソウもユニクロやダイソーのシャンザイだと呼ばれてきたわけで、「シャンザイ王ロビン→メイソウ・ブランディングマネージャー」という流れは強烈でした。

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しかしこういった企業家がいることは事実だし、また大湾区から生まれて来た草の根のビジネスの姿を伝えています。また、メイソウの製品はモバイルバッテリーですら、品質が信頼でき、なりふり構わない量的な成長だけではない、品質管理や設計開発の面での脱皮が内在していることは否定できないと思います。そしてシャンザイ王ロビンは製品を輸出するだけでなく、エチオピアに工場を建て、メイソウは60か国に進出。「大湾区」という地域から国外に打って出ているわけです。

たしかに、この地域でよく開催される展示会やベンチャーイベントでは、「有力企業のプレゼン」を聞くことはできるのですが、基本的にはそれは企業の宣伝です。それに対してシャンザイ王ロビンのプレゼンタイトルが、「中国はシャンザイから何を学んだか」だったことに現れているように、より広い論点に言及していたのが、個性的でした。

話者の選択も、バラエティに富んでいて、大湾区で起きつつあるちょっといい話をざっと聞けたので、行く価値があったイベントだったと思います。TEDというと、かっこいいプレゼンをする場所というイメージが先行していたのですが、実際に参加してみるとまた新たな発見があるものです。東京大学でもTEDxをやっているので、次回はぜひ見に行ってみようと思います。

深圳在外研究メモ No.45 深圳建築ビエンナーレで城中村・南頭古城を訪問編 ~「共生する都市」、開発業者、タオバオ村の未来図

2017年12月15日から2018年3月15日の会期で、深圳建築ビエンナーレが開催されています。テーマは「城市共生」(Cities Grow in Difference)、訳すとすれば「共生する都市」でしょうか。

正式名称は「2017 深港城市/建築双城双年展(深圳)」2017 Bi-City Shenzhen Biennale of Urbanism / Architecture (Shenzhen)です。すでに7回目の開催で、日本語でも調べると過去の見学レポートが見られます。

2008年のレポート(第1回):月刊旧建築trystero.exblog.jp

2009年のレポート:アジアと建築ビエンナーレを考える五十嵐太郎(東北大学教授/建築史、建築批評)

2014年のレポート:AXIS 深圳 都市と建築のビエンナーレ

いずれも建築関係の専門家によるレポートで、自分は全く建築はわからないですし、そもそもビエンナーレが「2年に1回開かれる美術展覧会のこと」ということすら知りませんでした。建築は門外漢ですが、Learning from Shenzhenを編集しているMaryさんのワークショップに参加するために現地に二度足を運び、中国研究している人間から見て、非常に面白かったので、つらつらとメモしておきます。

 

1.会場が歴史もある「城中村(Urban Village)」

会場は南山区の南頭古城。SNS大手のテンセントの現状の本社ビルから西に20分くらい歩いたところです。歴史的には晋の時代にまでさかのぼれる城壁のある小さな街です。下の写真は南頭古鎮の南側城門です。

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深圳市では1970年代末の改革開放以降に経済特区に指定されて急激に移民人口が増えました。深圳にかぎらず、1980年から1990年をピークとして、移民たちは都市の周辺部に自らの生活を成り立たせるための集住地区を作りました。北京には「新疆村」や「浙江村」といった特定地域から出稼ぎ移民が集住した「村」が生まれたことが知られています。

実は私の卒業論文は北京の浙江村を題材としたものでした。参考文献としたのは中国の社会科学院の王春光先生の本で、北京の天安門広場から南にいったところにある大紅門エリア(浙江村)になぜ温州人が集まり、そしてどのような生業で暮らしているのかを資料と現地訪問から調べた、というようなものでした。正直当時は中国語がろくにできなかったこともあり、フィールドワークといっても、街を歩くくらいでした。浙江村の場合には浙江省の温州市という商業精神の強い地域の人が、お互いに集まり、ときに北京市の強制的な「整理整頓」に遭いながらも、アパレル産業を発展させ、一時期は北京でも有数のアパレル製品の生産流通拠点を作り上げていました。

中国の都市化のなかで生まれた、立地としては都市にあるけれども、なかの住民の大多数は田舎から出てきて、農村戸籍を持ち、人的ネットワークもいわゆる都市とは異なる空間。都市の中の「村」が「城中村」です。

 

2.なぜ「城中村」でビエンナーレなのか?

ではなぜ建築ビエンナーレが「城中村」で開催されているのでしょうか?公式HPには中国語と英語でその狙いがずいぶん書かれているのですが、多少飛ばしながら訳すると以下のようなことが書かれています。

今回の深圳ビエンナーレは「共生する都市」を主題としています。「共生する都市」という問題を提起しているのは、単に今の世界や中国の都市化の現実を批判的に解読するのではなく、同時に一種の異なる未来都市の景色を提起するという試みでもあります。

我々がいま生活しているのは、危機に直面し、そして不確実性に満ちた世界です。経済発展の不均衡、文化の衝突、価値の行き違い、矛盾の叢生。当時にグローバリズム、消費主義、メディアの覇権は既存の秩序と生活を不断に再構築しています。

中国を振り返ると、現代の都市化の進展は権力と資本の間で30年余りの高度発展を遂げました。もともと存在したソビエトロシア式の現代主義と市場に主導された徹底的功利主義の二重モデルの駆動のもとで、我々の生活する都市は例外なく単一のものへと変化していきました

中国の一線都市(注:北京、上海、広州、深圳を指す)、それから二線、三線都市でも、さらには郷鎮でもますますその傾向は明らかです。生活品質を高める「都市の更新」は往々にして、これまで蓄層されてきた豊富な歴史的街区や多様で雑柔な都市生活を清掃し、グローバル化と商業化の標準的配置に置き換えました。都市の紳士化は、光沢ある表面のしたで社会的分化、そして生活の味に欠ける都市の病状を作り出しました。

このような現実の直面し、我々は一種の多元的な「共生」の都市モデルを呼び越したい。

我々は自覚的に、単一で理想化された未来図に反抗すべきだと考えます。なぜならば、都市そのものとは、高度に複雑な生態系であるからです。今日の都市は、多元的な価値体系の均衡の結果であるべきだし、人々が身を寄せる世界であるべきだし、心の中にある異なる夢の高度な異質性と差異化の文明的共同体であるべきです。都市は本来、あらゆるものを包容し、和して同じないものであるべきです。都市の生存と繁栄は最大限の「差異性」、「異類」、「他者」の包容と文化的理解に基づくはずです。

我々は”Cities, Grow in Difference”、(「都市は、異なるから生まれる」)の中国語訳を「城市共生」として、都市の中の複雑な文化、社会、空間と日常生活の多層的な共生を強調します。都市とは多重な身分と視角の重なりであります。「混雑と共生」をもって、我々は都市概念の多元、差異、攪拌、そして抵抗へ向かうべきだと強調します。

(省略)

クリエイティビティと想像力は、都市の中で不断に新たな居場所を探します。今回、彼らは展覧会の主会場に来ました。「南頭古城」です。南頭古城の管轄区域は晋の時代から今日の香港、マカオ、東莞、珠海などの広大な地域を含みました。1840年のアヘン戦争以降、香港は新安県から切り離されました。100年の間、この古城は不断に消滅し、そのかわりにまわりの村が膨張しました。深圳の都市化の加速に伴って、最終的には都市が村を包囲し、そして村がまた古城を包含するという、都市と村の入れ子構造になりました。古城は時に隠れ、時に現れるという複雑な構造、つまり「城の中に村があり、村の中に城がある」という状況をつくりました。

南頭古城は現代の「城中村(アーバンレッジ)」と歴史的な古城の高度な融合であり、1700年の歴史を持つ遺跡でもあり、なおかつ都市化のなかで自発性と異類性を持つ現代的空間でもあります。ビエンナーレの主会場として、このまちの全貌は、近代から足元の都市と村の変化を示す豊富な空間的サンプルです。

中国と西洋の共生、古今の共栄。

全世界で唯一の「都市と建築」を主題とし、都市と都市化の使命に注目してきたビエンナーレとして、本展示はいまの中国の一人一人が注目する幸福と災い(注:原文で「休戚」、うまく訳せない…)に関わる都市を議題にします。

世界の他のビエンナーレと異なるのは、会場で展示するのみならず、同時に20世紀と21世紀で最も激烈な都市化が進んだ現場に身を置くことにあります。深圳から珠江デルタへ、都市そのものが最大の展示会場であり、同時に事件の発生現場です。ビエンナーレは最も緊迫した都市問題の交流のプラットフォームであり、同時に都市建築と日常生活の実質的な改善の実験場でもあります。

城中村は現代都市の一モデルとして、特殊なやりかたで都市の長期的な変化が未完成であることを体現しています。それは外部からの圧迫の中で自発的かつ持続的に変化してきました。自己増殖と自己の更新は城中村の本領でしょう。

城中村は深圳都市化が内に向かって深掘りする最新のフロンティアであり、また同時に都市の均衡発展の最後のボトムラインです。経済特区都市として、深圳はまさに「ポスト城中村」の時代を迎え、二度にわたる都市化の波を経験し、高まる空間密度は城中村の生存と未来を拷問にかけています。ビエンナーレの介入は、まさに時を得たものです。

加速発展する都市化のなかで、都市は上から下へ(注:トップダウンの)の都市計画もあれば、下から上への(注:ボトムアップの)自発的推進力もあり、「城中村」はまさにこの二種の力の間にあります。「城中村」は、また中国の市場経済のもとでの高速都市化と、計画経済の衝突による矛盾の産物であり、もっかでは自発的に爆発な成長を遂げる都市への新移民の「入り口の都市」となっています。

城中村の面積は、深圳の総面積の六分の一で、2000万人をこえる人口のうちの約900万人がそこに住んでいます。つまり16.7%の空間が、深圳の人口45%を受け入れているのです。

(省略)

我々はこの展示のあとで、深圳城中村の発展のために豊富な記録を残し、また都市問題の議論をより広い範囲に導きたいと考えています。城中村という特殊な空間を起点として、今日の都市を顧みて、未来都市のプランを議論したいと思います。城中村は「共生する都市」の起点にすぎません。合法的で、周辺化された、そして表現されることのない空間と社会的グループを展示するすること、この展示とこれからの都市改造の試みを通して、共存と共生を試します。「2017 深港城市/建築双城双年展(深圳)」は、一つの展覧会であるだけでなく、同時に一つの介入計画であり、また一つの都市づくりの行為でもあるのです

ビエンナーレキュレーター:

侯瀚如、刘晓都、孟岩

 

3.メイン会場の風景

入り口にはこのような看板。

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歩き進むと、城壁の中に住宅が密集しています。

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広場が作られていて、子供たちが遊んでいます。

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Maryさんのワークショップ。

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デザイナーが住み込んでリノベーションし、デザインハウスを作っていました。

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下の写真がメイン会場。元工場だったと思われる建物を利用。

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中国の城中村、そして出稼ぎに関する写真展。展示枚数は少なめでしたが、印象的なものが多かったです。

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深圳市白石洲と思われる写真。これも城中村として有名な地区です。

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4.インテリ/デザイナー、住民、開発業者

ここを見に行くのは実は2回目だったのですが、英語でのワークショップをやっていると、近所の子供が遊びにきたり、また現地の保安関係者が見て、好奇と景観の眼でインテリたちが英語で討論しているのを見るという風景をたびたび目にしました。

住民と、来場者の間には明らかな壁があります。それ自体を体感させているともいえるのですが、案内してくれた方が「このような城中村のなかでの展示がされることに対して、反感をもつ住民もいる」ということでした。確かに、自分が住んでいる街が展示会会場になり、その生活空間に多くの外部の人がくることを嫌がる気持ちはありえることでしょう。城中村の生活空間に、とってつけたようなアートやデザインハウスを作ることにも、個人的には若干の違和感を感じたことも事実です。しかし「このイベント無かったら、お前はここに足を踏み入れもしなかったではないか」と言われると、返す言葉がありません。結局は、自分も含めて、きれいな、あるいはファッショナブルなデコレーションをされたりして、初めて行こうかな、と思う、それが一つの現実です。

さらに問題を複雑にさせるのは、この展示会のスペシャルサポーターが「深業集団」という深圳市が100%出資するディベロッパーで、この地区の再開発を手掛けている業者であるということです。現地で聞いたのは、深業集団はこのビエンナーレのあとには、この地域の立地の良さを生かして、より若い人たちが住む場所にしたいということでした。ある意味当然ではあるのですが、テンセントやハイテク企業で働く人が住みたいと思う街にすることで不動産価値を高める、という思惑がここにはありそうです。

単一的な都市開発に批判的であろうとする展示会すらも都市開発に利用されかねない生々しい現実があります。それとも単なるディベロッパー主導とは異なる開発がここから胎動するのでしょうか。深圳の有力ディベロッパーVanke(万科)集団も城中村の改造に着手しており、城中村の「昇級改造」を通じて深圳に新たにくる若者の住居を確保しようとする方向性が見えています。深圳市内の城中村の雰囲気がこの展示会以降、大きく変わっていくのかもしれません。

城中村と開発、都市の成長と都市の記憶をめぐる、問題そのものを突き付けてくる展示と街がここにあります。この意味でこのビエンナーレは一つの衝撃を与えうるものです

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(英語での路上ワークショップの光景を、住民は後ろから写真を撮るくらいの好奇あるいは警戒の目で見ていました)

 

5.衝撃を受けた「タオバオ村」が極限まで進化した姿を示したアート

個人的に一番衝撃を受けたのは、オーストラリアの建築家であるLiam YoungによるNew Cityという映像作品です。

壁一面にプロジェクターで投影されていたものです。

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中国の農村の風景ですが、レールが敷かれており、段ボールが高速で動いています。

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作品右をよく見ると「農村淘宝 いるものはなんでもある」と書いてあります。そう、この作品は、Eコマースの農村タオバオが極限まで進化した未来をデフォルメして描いています。

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作品左にも、中国タオバオ村 ○○村(よく読めない)と書いてあります。山肌は段ボールによって埋め尽くされています。

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高速で動くベルトコンベアー。そしてBGMには若干不気味な音楽が流れています。

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更に不気味なのは作品をよく見ると、屋根がかかっていることです。巨大な倉庫のような空間を思わせます。

 

Liam Young氏はDistopia系の作品をずいぶん作っているようで、このシリーズの中国版だったようです。

 

その他参考資料

http://www.sznews.com/news/content/2017-12/22/content_18080008.htm

http://www.oeeee.com/html/201712/18/525272.html

http://money.163.com/17/1223/10/D6B87UK2002580S6.html

http://money.163.com/18/0104/05/D79JNT6A002580S6.html#from=keyscan

http://news.sina.com.cn/c/2018-01-09/doc-ifyqiwuw8382912.shtml

http://money.163.com/18/0106/09/D7F7C0EC002580S6.html

http://news.sz.fang.com/open/27494919.html