深圳在外研究メモ No.40 番外編~ワシントン・カーネギー国際平和基金に出張

米国ワシントンのカーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)にて、12月8日開催されたワークショップ“China Risk and China Opportunity for the U.S.-Japan Alliance”に日本側同行者として参加してきました。日本側からは神谷万丈先生、川島真先生、細谷雄一先生、森聡先生が報告者として登壇し、米国からは Michael D. Swaine,  Sheila Smith,  James L. Schoffが登壇しました。

論点は中国がもたらすリスクだけでなく、オポチュニティ(機会)をどのように統合的に理解するかという点で、外交、安全保障の面からの議論が中心になりました。私は経済の観点から現地でクローズドの研究会での報告をするにとどまりましたが、ワシントンのシンクタンクや政権関係者のなかでの対中認識の一端を感じることができました。単純化すれば経済面では中国経済の成長が米国と日本の企業に需要としての機会を提供すると同時に、安全保障上ではリスクとなりつつあると指摘できる一方で、政治経済が一体化しつつある政策動向を鑑みると、このような単純化した分断論では解決できない問題が生まれつつある、という認識はおおむけ共有できていたように感じました。森先生が発言されていた”Minimize risk, maximize opportunity”をどのように達成するかという論点提起も参加者の了解を得ていたように思います。興味深かったのは、ワシントンのアジア識者と呼ばれる論者の間にもトーンには大きな差があることで、米国の現政権自体が国際秩序にとってのリスクであるという趣旨の発言をする方もいました。また、ちょうど訪米した時期に、日本政府が一帯一路への積極的な関与方針を明確にしたことも、一部の論者からは高い関心を集めていました。

ワシントンを訪れるのは初めてだったので、時間を見つけて市内を歩けたのは貴重な経験となりました。ホワイトハウスの前では、太陽光発電業界のワーカーが抗議活動をしていましたが、ブラスバンドに先導されて、ある意味で楽しそうに抗議活動をしていたのが印象的でした。またホワイトハウスのすぐ西側には世界銀行、IMFの本部があり、また大規模な政府部門の建物を見て、米国の政治の中心としての位置づけを強く感じました。中国初のシェアサイクル、OfoとMobikeもワシントン中心部では見られ、実際にアプリで起動して乗ってみました。平日の市内の様子はあまり観察できませんでしたが、何人かシェアサイクルに乗っているひともいたので、利用者もそこそこいるようです。

中国の経済都市深圳に滞在している時期に、米国の政治都市ワシントンを訪問できたことで、とりわけそのギャップを強く感じた出張となりました。出張で得られたいくつかの知見は、今後、何らかの文章に盛り込んでいきたいと考えています。

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ホワイトハウスの前で抗議をするSolar Workerの人たち。楽しそうに抗議する姿が、米国の民主主義の懐の深さを感じさせました。同時に当時の声明で、トランプ大統領がエルサレムをイスラエル首都に指定するという言及があり、翌日以降にはより強烈はデモが起こっていたようでした。

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リンカーン記念堂の階段からワシントンモニュメントを見た眺め。手前にはキング牧師が著名な演説をした記念の表記があります。

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世界銀行に新しく設置されたWorld Bank Group Visitor Center.

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最近のレポートやグッズの販売コーナーもありました。

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世界銀行の設立からの主たるイベントや、近年の重点プロジェクトの説明がされていました。

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スミソニアン博物館の米国歴史館内にある、”Places of Invention”展.

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当然ながらシリコンバレーなどが取り上げられていたのですが、そのなかに、ブロンクスのHip Hop音楽の形成が、アメリカらしい文化の交流のなかで生まれたという展示は印象的でした。親のレコードとプレーヤーを使い、そこから再編という手段で新しいストリート音楽を作った過程をInventionとして展示しているわけです。

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ワシントンモニュメントのすぐ近く、Constitution Streetの一角にあったMobike.台数はそれほどでもありませんでしたが、とくに官庁街では数が多かったように思います。実際に乗ってみましたが、左ハンドルにベルが、右ハンドルにギアチェンジャーがあり、中国国内のMobikeとも異なる、多少はローカライズされた車種となっていました。

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連邦議会前までMobikeで移動して撮りました。

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国立美術館も少し見れましたが、ダビンチ、モネといった西欧美術よりも、個人的には写真にあるような米国の写実主義的油彩の迫力が魅力的でした。