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深圳在外研究メモ No.35 深圳エレクトロニクス産業と自動車産業はどうつながるか編~スマートバックミラーから曲面ダッシュボード、そしてBYTONによれば車はスマートデバイスへ

中国南方の経済の中心、珠江デルタ地域には、デルタ東南には深圳市を中心としたエレクトロニクス製品のサプライチェーンがあり、一方で北の広州市には自動車産業のサプライチェーンがあります。企業訪問をしていると、感じることは、現状では広州と深圳のサプライチェーンの間には大きな壁があり、相互の間には直接的な連関が薄いのが実情です。この背景には自動車部品の特に機能部品の場合には人命にかかわるために極めてハードルが高く、サプライチェーンの管理も厳しく新規参入が困難であるという事情があります。深圳には電気自動車を生産するBYDがありますが、まだその生産台数は限られています。深圳の間にある東莞市では、企業によってはエレクトロニクス製品にくわえて自動車関連部品を、とくに非機能部品分野で担っており、この意味で面白い地域になっています。

ただ、深圳市と自動車産業との関係が無いか、といえば、自動車産業の電子化に伴って徐々に見える形での融合が始まっているようにも思います。一番簡単な事例は、スマートバックミラーです。日本では搭載不能かもしれませんが、深圳ではバックミラーにアンドロイド端末が内蔵され、SIMカード内蔵して地図上に現在地を表示し、言語認識で行先指定などができ、端末背面にあるカメラで撮影された映像を内蔵SDカードに録画するドライブレコーダー機能がついた端末をよく見ます。現物の写真はこの投稿の下記に掲載しておきます。

よりハイエンドかつ組み付け部品の事例も挙げることができます。BYDの秦100にはすでに12.8インチのディスプレイが搭載されており、Teslaにかなり近いダッシュボードとなっています。このブログでも何回か言及している通称「山賊王」ロビンの工場でも、ダッシュボード用のタブレット端末を生産しており、組み付けサプライヤーとしての納入と、アフターサービス段階での内装変更市場の両方に納入をしていました。また世界で開発競争が進んでいるフレキシブルディスプレイ分野では、深圳で注目されている柔宇(ROYOLE)が開発を進めている曲面ダッシュボードを挙げることができます(CES2016にて発表)。

加えて、現地の報道によればEMS大手のFoxconnはすでにTeslaの128部品を製造していると言われています。Foxconnは江蘇省昆山市にバッテリー工場の建設に250億元の投資を行うことを発表しているほか、Tencentと共同で電気自動車ベンチャーである和諧汽車に出資しており、この分野を探っていることが明確です。

FoxconnとTencentがからむプロジェクトで興味深い事例は、電動車スタートアップ、Future Mobility社のコンセプトカーBYTONです。BMWで電動車プロジェクトに携わっていたCarsten Breitfeld氏がCEOを務め、このほかにもTOYOTAの製造とTeslaの購買担当を経験したMark Duchesne氏も合流しています。Crunchbaseの情報によればFuture Mobility社はTencent, Foxconn, Suning(蘇寧)等から合計2億ドルの出資を得て、南京に本社を構え、工場も南京への建設が決まっています。本拠が南京であるので、深圳とは関係ないとも言えそうですが、TecentとFoxconnが絡む点は今後注目が必要でしょう。

BYTON社の動画を見ると、タイトルが“It’s not a car, it’s a smart device(車ではなくスマートデバイス)“、中身を見てもスマートフォンからシームレスな自動車、というよりもモビリティを目指しているようです。Face Recognitionによる開錠、他のスマートウェアラブル端末との同期、ハンドモーションによる操作・・・。ダッシュボードは存在せず、ハンドルの奥が全面ディスプレイとなっています。そして自動車としての乗り心地などには一切言及していません・・・。そうこれは「自動車ではなくスマートデバイス」だからです

これまで自動車とエレクトロニクス産業、別言すれば珠江デルタでは広州と深圳は少し遠い別産業というのが実情だったかもしれません。しかし2020年代には、この両者が融合していく可能性もあるかもしれません。南京に本拠置き、世界6拠点立ち上げ、元BMWの人が創設、FoxconnとTencentとSuningから2億ドルの出資を得て、電動車ベンチャーが生まれる。そんな時代に我々は生きています。

 

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電気街華強北の賽格(SEG)ビル二階の様子。国慶節も明けて活気が戻ってきました。

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電気街の数か所で配布されているフリーペーパーの中に「汽車電子」という冊子があります。中を見ると・・・

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スマートハードウェアの製造メーカーのなかで、特に車載系のハードウェアを開発製造しているメーカーの広告が掲載されています。

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スマートバックミラー、スマートダッシュボードが並んでいます。

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実際に市場に並んでいるスマートバックミラー。要するにアンドロイド携帯が入っているので、電話も、地図も、通信料の支払いも、ビデオ録画も、WeChatもできます。

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地図の表示画面。地図アプリの言語認識機能を使えば「○×ビル」と言えば、そこまでのナビゲーションが始まります。

 

 


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