深圳在外研究メモ No.16 3Dプリンター工場見学編~デジタルファブリケーション機器の製造現場はきわめてアナログだった

深圳・香港では展示会が頻繁に開催されています。電子電機系の展示会に行くとロボット、VR、ウェアラブルなどが並ぶ中に3Dプリンター企業の出展ブースも並んでいます。その中で、小さいブースにプリンターを並べ、手に取った精度はなかなかで、しかし製品価格は3,200元(約52,000円)というメーカーがありました。興味をもったので声をかけて仲良くなり、後日工場を訪問しました。

工場は深圳市の北部、龍華の工業団地内の一室にあり、部屋3部屋のうち、1部屋が組み立て、1部屋がオフィス、1部屋が来客対応用でした。

海南大学の大学生が卒業後の2014年に深圳で創業したプリンターメーカーで、現在従業員数は20名ほど。創業者は1990年生まれです。サーボモーターをはじめ、主要な部品はすべて近辺で買い付け、フレームのみを板金で特注し、あとは部屋で組み立てていました。3Dプリンター内部のソフトウェアについては独自の改変を行っているらしいのですが、このあたりの話は聞くことができませんでした。

販路は基本はEコマースで、中国国内は天猫、JD、国外はAliexpressで販売しており、最も数がでているモデルは機械のサイズが420mm*420mm*460mmで、最高精度0.1mm、ノズル直径0.4mm、価格が3,200元です。この価格にして、重量は18kgで、フレームはすべて金属でできていました。製品の中で最も重点を置いている箇所はフレームだということで、重量のあるフレームを使うことで、機器のブレを避けることを目指していました。工場内でも組み立て工程での調整はすべて六角ネジでの調整となっており、あとで知り合いに聞いてみたところ、やはりこの工程が重要だとのことでした。デジタルファブリケーションの代表格である3Dプリンターの生産は、意外にも極めてアナログだということがよくわかりました。

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工業団地、というかアパートの一室に…

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3Dプリンター工場が。むせかえる暑さの中、組み立て作業が進められていました。

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現在の最も「大衆路線」であるモデル。価格のわりに、フレームがしっかりしており、確かにその点は同価格帯の他社製品との差がありそうです。

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最大サイズ、縦1000mmのプリンター。特注で3万元とのことでした。

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共同創業者の李建さん。現在開発中の小型モデルも紹介してくれました。

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持っているネジが明らかに普通とはちがうもので、それを使ってプリンターのヘッドが乗る軸を微調整する工程。ここがずれるとすべて終わりなので、最も重要な工程の一つ

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本体に関わるネジは六角ネジ。

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出荷前には全台で試し打ちを行う。室内には失敗したプリント制作物も結構置いてありました。

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試し打ちの一つはドラえもん。頭の球体部分がきれいに出るかどうかがチェックポイントの一つとのこと。

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応接室に置いてあったサンプル。展示会会場やこうした場所においてあるのは、「成功品」であるということが工場を見るとよくわかりました。カメラのプロトタイプ用のプリント製品なども置いてありました。

 

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