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深圳在外研究メモ No.6 ニコ技深圳観察会 (2017年4月)三日目訪問先感想編~Ash Cloud, Seeed, Insta360, and Tencent!!!

※追記しました

ニコ技深圳観察会、いよいよ最終日。ここまででも十分に濃かったのですが、この最終日は異常な密度で1日が過ぎました。間違いなく参加者のテンションが最高潮になった日でした。

理由はいくつかあるのですが、一つは訪問先がどこも「極端なことをしている」会社だったことです。そしてもう一つは、Insta360では創業者のJK LIUさん自らが会社を案内してくれ、さらにプレゼンテーションセッションでは参加者側のVR開発者GOROmanさんによるプレゼンも日本のコンテンツ産業のすばらしさを伝える熱いプレゼンだったこともあります。細かく振り返るのではなく、紙芝居式に写真に要点のみ書き留めておきます。(深圳での日々はインプットが多すぎて追いつかない…)

1.Ash Cloud~アップルに恋に落ちたと思われる社長による一括情報管理工場

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オフィスフロアの入り口。木目と白のデザインで統一されており、PCはアップル社製品で統一。

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会社内の勤退管理、休暇申請、監視カメラの映像、生産ライン管理(サプライヤーからの納品、生産ライン、在庫管理・発送まで)、スマートフォン・タブレット端末でアクセス可能なアプリケーションで一括管理されています。説明してくれたLieaさんが日本に来た時にもアプリケーションを見せてもらったのですが、日本からもアクセス権のある情報にすべてアクセスできました。

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生産ラインも木材で統一されていました。生産ラインで実際にやっていることは、スマートフォンケースの包装でした。工場内にも試し打ち用の射出成型機がありましたが、基本はサプライヤーから納入されるパーツの検品と包装が主要な業務でした。つまり作っているものは正直大したことが無くて、裏側にある管理システムと徹底した美意識の追求が特徴的でした。同行したTakuさんがおっしゃっていたのですが、社長の美意識を会社に押し付けすぎると駄目になるのだそうですが、個々の場合、現時点ではそれがうまくいっているようでした。

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製品の例。サムソンGalaxy8用のケースで、特別なものではありません。

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生産ラインの横の壁になぜか英語で書かれていたコスト計算表。

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業務はすべて携帯(iPhone)またはタブレット端末(iPad)のアプリに紐づけられて管理されているため、生産ラインや倉庫にも端末が設置されていました。

2.Seeed~世界のメイカーズたちの製造代行の現場では、工場ですらDIYで作ろうという姿勢にあふれていた

グローバルなDIYやメイカーに対してオープンソースハードウェアやプロトタイプを提供しているSeeed。私も製品をいくつか量産品を購入したことがあったのですが、工場の内部に初めてはいることができました。工場全体はワンフロアで、量産品を作る箇所が広い面積を占めており、プロトタイピングのスペースがフロアの端にありました。

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量産ラインの前工程で、チップマウンターで量産品を実装する箇所です。

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一部はんだ付けも行われており、また検品作業もおこなれているライン。

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ここでもタブレット端末でのタスク管理が行われていました。

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試作エリア。この机も、また看板も明らかに彼らがDIYで作っている。

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3Dプリンターも自作か、または少なくとも自ら組み立てていました。

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可能な限り、自作しないと気が済まない、そういった態度を感じる徹底ぶりです。

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Seeedにつながる指紋認証スイッチ周りにもアートというか遊び心を見せようとペイントが施されていました。(”Grove the difference”というペイントもあったのですが、まだ意味が理解できていません)

「DIYまたはメイカーズムーブメントの先にある工場もまた、メイカーズ的であるべきだ」、というような発想がなければ工場内部が上記のような組み立てにならないはずです。

3.Xfactory~不動産開発の巨頭・万科とメイカーズムーブメントのふつうはあり得ない融合

中国最大規模の不動産ディベロッパー、万科が開発するエリア。中国のメイカーズムーブメントの火付け役ともいえる柴火創客が中心部に拠点をかまえ、「メイカーズのための街」をゼロから開発していました。

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柴火創客のエリック・パンが大きく強調された広告。正直、エリック・パンが不動産開発のネタになっているような気もするのですが…。

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柴火創客の「プロメイカー」向けスペース、Xfactoryへと続く入り口。ここでイベントをやったら気持ちがいいだろうなぁと思いました。

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オフィスエリア。

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台湾出身のウェインさんがXfactoryを説明してくれました。彼はビジネススクールを卒業後、VCではたらいて、自分の会社つくり、2012年に台湾でクラウドファンディングサイトを立ち上げたそうです。その後、Foxconnで2年間、ハードウェアスタートアップにサービスをする部門に所属し、その後、エリック・パンにインスパイアされてSeeed Studioに加わり、台湾オフィスを立ち上げたそうです。つまり、経営学、ベンチャーキャピタルのお金の動き、クラウドファンディング、さらに世界で最も量産をしている会社と、0から1を作り出すSeeed、これらの経験を持っていることになります。この経歴には驚きました。まさにメイカーズをサポートするプロになるために必要な経歴を揃えているのではないでしょうか。

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面白かったのは、第一に、彼らは「創客」をMakerproと呼んでいたことです。たぶんここでいうMakerproとは、DIYで自作でアイデアを形にしているだけでなく、アーティステックな影響力があるか、または量産を念頭においているもの、という意味があるのだと思います。ウェインに会ったらまた聞いてみようと思います。そして、第二に、Xfactoryは意識的に創客と現地の産業集積をつなげようとしていることでした。世界からデザイナーやレベルの高いプロトタイプを持っているグループを招聘し、ここに入居してもらうことで、産業集積を活用し、また発展させていこうというアイデアです。

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設備もほかのメイカースペースのラボにはないレベルのものでした。NC切削機でこのサイズはDMM.make Akibaにあったような気がしますが。

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ちょっとした遊び心が感じられるスペース。

4.Insta360~360度カメラで世界を席巻、世界最速を体現するハードウェア開発の現場を見た

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最初のプロトタイプを説明してくれたJKさん。

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GOROmanさんによるプレゼン。GOROmanが子供のころにアーケードゲームの世界の中に入りたかった、という導入から始まり、日本のVRコンテンツのユニークさを熱弁。現在従業員200人のInsta360の成長が速すぎて、20人が入れる会議室がないらしく、外のカフェの二階を借りて、そこにJKさんも来てプレゼン会開催。そしてGOROmanさんはシリコンバレー出張帰り。このあたりの偶然がもたらした異常なテンションに参加者全員が巻き込まれ、私の印象ではツアー中最高潮のテンションに入る

 

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Insta360のJKさん。8kで360度撮影可能なInsta360 proを説明。時間が足りなかったため、あまり深く議論できなかったのが残念だが、すでに8Kリアルタイム、360度が実現しつつあることを実感しました。どこを切り取っても普通の写真ということになり、フォーカスという概念が一般には消滅することを感じさせました。

5.Tencent VR部門~8億人のユーザーにTencentはどんなVRを被せるのか?

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Tencentビルへ。深圳大学から常に見ているビルに入ることになりました(一番大きなvビルのとなりのオフィスでしたが)。

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GOROmanさんのプレゼンを今度は日本語で聞きました。2度目も小ネタが入ってとても楽しかったです。

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Tencent VRチームのBaoさんのプレゼン。概要を書くと、①もうすぐテンセントのVRセット、開発プラットフォーム、コンテンツのプラットフォームをリリースする、②開発環境はUnityとUnrealの両方に対応する、③Wechatには8億人のユーザーがいて、地図だろうが、SNSだろうが、支払いだろうが、タクシーだろうが、一通りアプリケーションは押さえているので、これをVRに活用する、④まずは中国国内で展開することを考えており、国内市場を押さえる、国外は後で、⑤その過程でVRコンテンツが必要。ユーザーの8割が男性で、コンテンツの内容も偏っているので、より多くの海外のコンテンツを持ち込むべく努力をしている。Baoさんからも率直な話が聞けて面白かった…。

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Tencentビルの下にはTencent Cafe内部のショップ。社員の紹介でカードキーで開けてもらう必要がある。ツアー参加者の皆さん、結構購入していました。

5.メイカーフェアー西安代表、Kevin~ブームのただなかにいて、彼は冷静だった

まだ終わりません。メイカーフェアー西安の代表、Kevinと夕食。

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彼のプロダクト。子供用のLEDキットで、PCB基板にこのように描画するのは簡単そうに見えて、実は難しいらしい。

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Kevinには率直な質問もしました。それは中国で政府がメイカーズムーブメントを協力にサポートすることによって、何が起きているのか、歪みのようなものが生じていないかということでした。彼の回答は、いくつか問題も起きているが、総じていえば事業の追い風になっているというものでした。そのうえで、如何に中国で自発的なDIYやメイカーのカルチャーを広めていくかは、今後の課題だと指摘しました。中学生、高校生が授業のなかでやりたくないのにSTEM教育を受けさせられるような事態が生じつつあることには違和感を感じているようでした。だからこそ、メイカーフェアーのようなイベントに情熱を持っているのだと、よくわかりました。上記のような若干センシティブな質問にも、冷静に答えるKevinを見て、中国のメイカーズの流行りを超えた、底流のようなものを感じました

6.そしてまだツアーは終わらない~なにかをMakeするか、自ら変わるか

 この後、参加者有志(それでも10人以上はいた)で24時間営業のケンタッキーに移動し、深夜までお茶をしました。 別に大した話をしたわけでもありませんが、3日間朝8時台から夜9時、10時まで動いているなか、最終日で皆さん体力的には厳しい状況だったと思うのですが、それでも「何かしゃべりたい」というようなテンションになること自体がすごいことでした。このカフェの時点で、①参加者の一人がXfactoryの仕事を手伝うべく動き出す、②Baoさんが日本にくるらしいのでGOROmanさんと一緒にイベントを開催する方向で決定、などなど、深圳スピードで物事が進んでいくのでした。

 この次の週末はMaker Faire Hong Kong、そして後は深圳で年一回開催される電子展示会CITEへと、まだまだ弾丸滞在は続くのです…。1年間の弾丸ツアーに参加している気がしてきました

 そして滞在メモNo.2に書いた宿題に再び戻ります。いわゆる「中国の工場」像を完全に逸脱している企業・工場が生まれていること、珠江デルタという中国の輸出型製造業の中心地に、これまでと全く異なるコンセプトの企業が生まれてきたことの意味を考えねばなりません。次回で、少しだけ検討してみます。


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