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Maker Faire Shenzhen, No.2, クリエイティビティに足が生えて越境している, 言語の問題じゃない

忘れないうちに、2016年10月に開催された、Maker Faire Shenzhenの雑感をメモしておこうと思います。台風「海馬」が直撃したこともあり、一度立てたテントを撤収するなど、運営は相当な激務のなかでの開催となりましたが、一来場者として日曜日に1日見た印象で言えば、何も不便さや台風の影響は感じませんでしたし、そこにも若干驚きました。運営サイドは、トークセッションの再調整、テントの組み立て、再広報等々、連日徹夜の状況だったと想像されます。運営の方、出展者の方、ご苦労様でした。

なお、関連のブログなどは、第6回ニコ技深圳観察会(2016年10月) 感想まとめをご覧ください。

 

フェアーの現場にいったわけですが、メインストリートにならぶIntel、Microsoft、Seeed辺りの大きなブースを超えると、ショッピングモールの内部にまで会場が拡張されていたので、探索するような感じで面白かったです。出展者の全体像はなかなか把握しづらかったという面もありましたが、設営にはセンスを感じました。現地報道によると出展者は、合計約220団体、このうち欧米、日本、韓国からも50近くが出展したとのことです。

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感じたことを並べてみると、まず、会場となった海上世界の変貌というか、開放感に驚きました。トークセッション「自造談(Zaotalk)」が行われた会場は、蛇口区の招商局が管理している物件のようでしたが、近辺を歩くと、元SANYOの工場であったところが、おもちゃメーカーに変わっていて、しかもその建物の外観が改築されることでファッショナブルになっていました。中心部ではそれこそ華強北を筆頭に、工場跡地が商業地区になっていますが、ここだけでなく康佳(KONKA)工場跡地には柴火創客も入居しているベンチャー企業の集積地となっており、同時に代官山のようなおしゃれなショッピングモールにもなっていました。街全体で、工場からオフィスへという構造転換を感じることができます。

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トークセッション会場横にあった元SANYOの工場

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米国のおもちゃメーカーHasbroのオフィスになっていました

 トークセッションは、マイクロソフトのスピーカーが、最初はどうかなと思っていたら、途中から意外に癒し系のキャラだと判明し、コグニティブ技術をユーモラスに紹介していたのが好印象でした。会場の反応もとてもよかったのでは。一方、INTELのプレゼンはちょっと硬かったかなというか、モジュールの宣伝以外、あまり頭に残らなかったですね。INDIEGOGOのプレゼンは中国企業をクラウドファンドにもっと参加してもらおうという、狙いがよくわかるプレゼンで、いくつか中国企業の成功例を紹介していました。スピーカーのSandy Diaoさんは才女感爆発してて、留学生なのかどうなのか気になって、話しかけてみると、華僑系米国人で、中国語に加えてなぜか日本語もできて驚きました。トークセッションでいえば、ペンギンロボを近藤那央さんが英語でプレゼンしていて、なおかつその内容が大変強気というか、中国人を前にして「マーケットはないが、作ればいいんだ!」と言い切っていて、こんなセリフ、日本人が叫んでいるのは初めて聞いたなと思いました。

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インテルの「メイカーズ向け製品」

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INDIEGOGOのプレゼン画面

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成功例として紹介されていた成都のプロジェクタースタートアップXGIMI

「自造談(Zaotalk)」にも、屋外の会場でのプレゼンもあり、われらが高須さんはチームラボの作品がいかに未来なのか、シンガポール台北でどんなことをやっているのか、といった話をしていました。屋外の会場は音が発散してしまうのですが、そんなの関係なしで聴衆の反応も良くて、盛り上がっていました。残念ながら深圳観察会にはわたくしは参加できなかたのですが、それこそ高須さんはもう、獅子奮迅の活躍、という感じでした。MIT系とか、中山大学新華学院のプレゼンもやっていましたね。

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高須さんのプレゼン

 Maker Faire Shenzhenの出展者のなかでは、小型の測量機器のスタートアップや、IoT/ARゲームの開発を手掛けているスタートアップが個人的には面白かったですね。測量機器はボタンを押すと距離が測れるという単純なものでしたが、かわいいデザインで価格は100元(1700円)で、日本の不動産の営業現場の方々なんかにはニーズありそうだと思いました。ARゲームの方は、木製の銃のうえにスマホを設置し、アプリをダウンロードするとシューティングゲームができるというものでした。銃の作りは簡素ですが、遊んでみるとなかなかの反応というか、打っている感触がありました。アプリはまだまだ拡充するとのことだったので、また数か月後に行くと新しいアプリが実装されていそうです。どちらも従業員3-4人で、社内では開発を手掛けて、製品の生産は外注という典型的なモデルです。まだまだ製品はいくつかしかない会社でしたが、なにより彼らが若く、そして新しいセンスを感じさせるようなアイデアを製品化させていたことが印象的でした。

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ARゲーム開発会社のCEO、溢れ出るゲーマー臭

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手のひらサイズ・簡素なロボットで遊ぶ子供たち。子供の来場者もすごく多かった

 このほか、Faireではいくつか、競争が激しくなっているカテゴリーも見て取ることができました。とくに目立ったのは、MakeBlock系の「青い教育用ロボット」、Adruino系のオープンソースハードウェアキット、STEM教育系の塾、この3つでしょうか。一つのモデルが成功すると、瞬く間にフォロワーが登場するというこの傾向は、いまでも健在。確かにMakeBlockの製品の価格はかなり高いので、より低価格を売りにする「山寨MakeBlock」のようなカテゴリーができつつあります。

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日本から出展者は、ロボットやプラネタリウムなど、いずれも体験できるものを持ってきており、言語に頼らずに多くの来場者を集めていたのが印象的です。とくにヒゲキタさんの3Dプラネタリウムは、口コミで行列ができていました。現地『深圳新聞網』の記事でも、使われている写真4枚のうち、上の2枚は日本からの出展者なわけで、かなり絵になるというか、また実際トップレベルの集客をしていました。このほか、韓国の企業が団体で出展しているゾーンがありましたが、これは報道によると、近国貿易投資振興公社(KOTRA)と京幾中小企業総合支援センターが組織したものだったようです。日本からの出展者も3か所でしょうか、見られました。

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ヒゲキタさん、3Dプラネタリウムの「進撃の巨人」の箇所、これが信じれないくらい迫力あった

 

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“We are the future”で大いに盛り上げる高須さん(Akipartyにて)。

 最後に、感想として一番書きたいのは、「越境しているのはクリエイティビティだ」、という点です。ヒゲキタさんにしても、近藤さんにしても、あるいは韓国の出展者や欧米からロボットを出展していた展示にしても、深圳にとどまらず、国外にすぐに行けてしまう、しかもコミュニケーションできてしまうわけです。むろんインターネット+LCCということで、情報と人の移動コストが極端に安くなっていることは前提でしょう(香港行き片道8,890円の時代です)。ただ、あっちにいって、実は言語でコミュニケーションしているわけではない。

ヒゲキタさんは上演前に、紙芝居風に漢字を読み上げて自己紹介をしていました。これは中国の来場者にとってとても意味のあることだったと思います。近藤さんも英語でしゃべり倒していました。ただ、どちらも、「なぜ来場者に伝わっていたのか?」、といえば、それは言語の問題ではないと思います。言語ではなく、「メイカー」というか、「モノ」というか、「クリエイティビティ」という周波数で会話してると感じました。伝えたいコンテンツがあって、それは見ればわかるというか、とてもユニバーサルなものなので、極論、言語はいらない、展示すればいい、体験すればいい、という強さがあって、それ自体を自分が身をもって感じられたことがとてもよかったです。日本のメイカーフェアーに言ったら、逆に外国人で、言葉があまりできないけどすごい面白い、みたいな展示がきっとあるんでしょう。

アイデアと人とモノが一緒に簡単に越境して、つながっていく時代をもろに体験できたのが、深圳メイカーフェアの最大の収穫でした。またメイカーズのグローバルな文脈と、ローカルな深圳という文脈がどちらも感じられるのが、メイカーフェアのいいところですね。現地にお知り合いになった方もとても面白い方ばかりだったので、まだ書きたいことがあります。次はもう少しトピックを絞って書いていこうと思います。

 

関連記事:Maker Faire Shenzhen, No.3~深圳海上世界(Sea World)の歴史, あの船「明華号」は「日中友好の船」だった

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