オープンソースハードウェアとコピー製品との関係について、続きです。クリス・アンダーソンの『メイカーズ』を読むと、第7章「オープンハードウェア」に、いかに模倣/クローン製品と付き合うか、書いてありました。
クリス・アンダーソンの答えは、
第一に、製品の名前とロゴを商標として保護する。
第二に、コミュニティーをつくる。
第三に、生態系をつくる。
第四に、コピー業者を仲間にする。
第一の名前とロゴはArduinoがその典型として取り上げてられており、コピー製品がでてきても、結局は”Arduino”とは名前を付けられず、コピー製品の市場は広がっていないと指摘されています。第二の点は、コミュニティは製品の完成度が高くなるほど必要とされなくなるので、防衛手段には必ずしもならない。そして最終的には、第三の生態系が肝だといいます。ワードプレスやアンドロイドのようにプラットフォームを支える機能が構築されれば問題ない、と。
同時に、興味深いのは第四の、模造者を味方につけるという事例ですね。この点については、ドローンのフライトコントローラーArduPilot Megaのコピーを作っていた中国側チームのメンバーが、正規品のマニュアルの中国語訳や、さらにフライトコントローラーのコードの修正をしてくれた、という話を紹介しています。ここで登場する北京大学の博士課程生だった黄小江さんが気になったので調べてみると、北京大学のInstitute of Computer Science and Technologyで語言・ネットマイニンググループ卒業後にMicrosoft Research Asiaで勤務しているようです。
クリス・アンダーソンはオープンソースの理念に共感するエンジニアや企業家は新興国にもたくさんいるということを強調しているように思います。デザインやコードをオープン化しながらも、コピー製品やクローン製品を訴訟の対象とするのではなく、仲間に引き込もうとする発想が底流にあるようです。Arduino、Wordpress、Androidに並ぶような、新興国発のオープンソースハードウェアやソフトウェアが出てくるのも時間の問題なのでしょうか。あるいはもうあるのかな?MakeBlockなんかを考えるとすでに変わってきていると評価すべきなんでしょうかね。
追記:
Facebookのグループで高須さんが紹介してた、HAX でのプレゼン”HOW TO PROTECT YOUR IDEA IN CHINA”では、より具体的に業者の選定、契約の完備性の確保、といった点が強調されていたとのこと。こうなると、MakersとShanzhaiの間の取引に生じがちな、いろんな不確実性が低下するということになるので、融合が進むということになりますね。このあたりの取引の事例、成功も失敗も蓄積されることで、一定のノウハウというか、コンセンサスみたいなのがすでにできつつあるんだと感じています。
「朝にはKICKSTARTERに夢を見、暮れには山寨に死す, No.2」への1件のフィードバック
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