“Is China the new idol for emerging economies?” by by Dambisa Moyo

TEDのDambisa Moyoさんのこの動画、2013年のものですが、授業で取り上げてみました。中国が新興国の発展モデルとなっているのではないか、という内容で、グループ議論がたいへん盛り上がりました。内容としては、ミドルクラスが生まれなければ民主主義が定着しないという研究を紹介しつつ、中国の開発アプローチが新興国で受け入れられている、だから欧米諸国は政治的権利を強調するのみではなく、経済的な繁栄をまずもたらすような支援が求められる、そのためには非従来的なアプローチが求められており、オープンマインドで取り組むべき、といった内容。欧米の立場でも、中国の立場でもなく、ザンビア生まれでアフリカをown continentと呼ぶ、Moyoさんだからこその説得力が生まれているプレゼンだと感じました。

同時に紹介したのがFacebookで知ったAfrobarometerのレポート、China’s growing presence in Africa wins largely positive popular reviewsで実に36か国でのサーベイをまとめたものです。下記の要約に出てくるデータだけでなくて、本文を見ると実に多くの質問をしており、例えば、米国と中国のどちらが自国にとってモデルとなるか、という質問をしています。その結果、国によっては中国がモデル(模範)だという回答のほうが多くなっていることが紹介されていますし、このほかにも、中国にポジティブな印象を持つのはおもにインフラを建設してくれるから、そしてネガティブな印象は製品の品質の低さ、という点も面白いところです。二つのシルクロード、いわゆる「一帯一路」構想でも、インフラ建設によるコネクティビティの向上がうたわれていて、国有建設企業に恩恵が集中するのではないかという見方がありますが、インフラ建設は外交的観点からみると好感度に貢献するという面もありそうですね。これまでアフリカについてのサーベイを見る機会はなかったのですが、中国に対する好感度が、どのような要因によって規定されているのか、興味がわきました。

China in Africa infographic by Afrobarometer

(出所:http://www.afrobarometer.org/publications/ad122-chinas-growing-presence-africa-wins-largely-positive-popular-reviewsより)

 深圳の企業家に聞いた話ですが、アフリカですでにノートPCの組み立て工場が、小規模ながらも立ち上がっているそうです。部品はすべて中国から持っていくノックダウン生産のパターンのようで、こうすることで完成品の関税を回避する利点があると言っていました。写真で見せてもらった製品は、価格300~500ドルらしく、ずいぶん安いもののようでしたが、それでもデザインはアップル社製品のような感じで、こうした製品に対する需要が確かに存在するのだろうと想像します。東南アジア地域での調査はした経験があるのですが、アフリカにおける中国企業の存在感についても、一度は現地で確認してみたいと思っています。